つばさ

最新話を『小説家になろう』に投稿。

(冒頭部分)

 緊急事態に似つかわしくない気持ちのいいくらいに澄んだ青空の下、全速力で北西の方角へ向かう。
 ――状況が状況だが、やっと飛べるな。
 もう人目 ...

つばさ

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(冒頭部分)

 春とは思えぬ強い日差しが射す中を、ひとりの翼人とふたりの人間がともに北へ向かって歩いていた。
 今は、街道を少し離れた森の中にいる。さすがにこの辺りま ...

つばさ

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(冒頭部分)

 つ、疲れる……
 フェリクスはこころの中で何度も何度もため息をついた。
 自分が今回の夜会の主催者なのだから仕方がないとはいえ、次から次へとあ ...

つばさ

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(冒頭部分)

 後ろ姿が人混みに消えて見えなくなってから、アーデはのほほんとしている長身の男をキッと睨みつけた。
「なんで邪魔をしたの、ユーグ!」
「これはお ...

つばさ

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(冒頭部分)

 バルコニーで受ける夜の風は冷たく、酒で少し火照った体には心地よかった。後ろの広間では、未だに夜会が行われている。
 ――みんな元気ね。
 アー ...

つばさ

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(冒頭部分)

 今日は、何か空気がおかしい。
 空は晴れ渡っているのだが、雰囲気がどんよりと重い気がする。それというのも、ヴァイクとリゼロッテの様子が、あの夜以来おか ...

つばさ

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(冒頭部分)

 風が後方へすっ飛んでいく。
 自分たちのこころを表すかのように澄み渡った空は、笑ってしまうほどに青く抜けていた。
 完全な快晴。
 前 ...

つばさ

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(冒頭部分)

 山道を歩くのは、さほど困難なものではなかった。
 翼人は、確かに普段は空を飛んでいることが多い。だが、二本の足がついている以上、地上を歩くこともよくあ ...

つばさ

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(冒頭部分)

「どうしてこんなことに!」
 アーデは自室に戻るなり、頭をかきむしった。こういった仕草は兄と呆れるくらいにそっくりなのだが、こちらもまるで自覚はない。 ...

つばさ

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(冒頭部分)

 窓から流れ込む風が、薄絹のカーテンを揺らしている。
 机の角まで差し込んできた春の陽光が心地よい。こんな日は外に出て乗馬にでも出かけたかったが、ノイシ ...