[つばさ] 最新話を投稿:第二章 敵 第四節 二――ファンタジーのオリジナル長編小説
最新話を『小説家になろう』に投稿。
(冒頭部分)
後ろ姿が人混みに消えて見えなくなってから、アーデはのほほんとしている長身の男をキッと睨みつけた。
「なんで邪魔をしたの、ユーグ!」
「これはおひどい。アイトルフ侯が本当にずっと捜しておられたので、それを伝えにきただけなのですが」
「あの男はアルスフェルトの件をくわしく知っていたのよ! もっと情報を引き出せたかもしれないのに」
「姫」
ユーグの口調が変わる。
「ヴェルンハルト殿下に向かって〝あの男〟とは何ごとですか。口を慎んでください」
「だって……」
ユーグの言い分は正しい。腹立たしいが今のところ反論のしようがなかった。
「まあ、いいわ。ところでユーグ、アルスフェルトを襲った翼人についていろいろとわかったわよ」
「ええ、聞いておりました」
「は?」
「ほとんど最初からお二方の後ろにおりましたので」
アーデはかちんと来た。
「だったら、どうしてもう少し話をさせなかったのよ!」
「立ち聞きしているのが他の方にばれそうでしたので」
この飄々|(ひょうひょう)とした態度が無性に腹立たしい。
ただ、それなら話が早くて助かる。
「じゃあ、どう思うの?」
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