[つばさ 第二部] 公開開始:序章 黒き翼:オリジナル小説
はじめに
以前から考えていた『つばさ』の続編を書いてみた。
今回は、以前とは少し違った雰囲気になっている。
もしよければ、読んでみてほしい。
P.S.
正直、今後どれだけ時間をとれるかわか ...
[つばさ] 更新の再開:第五章第三節を公開&専用Twitter設置
ようやく創作活動などを再開する目処が立ったので、久しぶりに『つばさ 第二部』を更新し、第五章第三節を追加。
なお、創作活動専用のTwitterアカウントを用意した。従来のアカウントはメモがわりに使っていて、いろいろな情報が ...
[つばさ 第二部] 第三章 第六節
空に重く立ちこめた厚い雲の下、剣戟の音が響き渡り、悲鳴や怒号が戦いに参加していない者のこころまですくませる。
「アーデ様、気をつけてください」
「言われなくても――」
「言われなくても、前に出てますよ」
「 ...
「アーデ様、気をつけてください」
「言われなくても――」
「言われなくても、前に出てますよ」
「 ...
[つばさ 第二部] 第三章 第五節
「遅かったじゃないか、ダミアン」
扉を開けるとすぐに声をかけてきた。夜だというのに広間には熱気が立ちこめ、それが衰えそうな気配はまるでない。
部屋の中には七人、いずれもが貴族もかくやというほど豪奢な衣服に身を包み、きらび ...
扉を開けるとすぐに声をかけてきた。夜だというのに広間には熱気が立ちこめ、それが衰えそうな気配はまるでない。
部屋の中には七人、いずれもが貴族もかくやというほど豪奢な衣服に身を包み、きらび ...
[つばさ 第二部] 第三章 第四節
雲行きが怪しくなっていた。
空の低いところに厚く雲がたれ込め、太陽の光を深く遮った。
風は湿り気を帯び、鳥たちの姿は上空から消えた。
「これは一雨来るな」
翼人のこういった時の感覚が外れることはない。 ...
空の低いところに厚く雲がたれ込め、太陽の光を深く遮った。
風は湿り気を帯び、鳥たちの姿は上空から消えた。
「これは一雨来るな」
翼人のこういった時の感覚が外れることはない。 ...
[つばさ 第二部] 第三章 第三節
晩春の朝霧は深く、陽光の遮られた森の奥まではとても見通せない。しかし、野生の生命の目覚めは早く、活力に満ちた嘶(いなな)きを未だ暗闇に包まれた森陰に響かせる。
そんな儚くも力強い息吹を感じさせる空気の中に、ややもすると不可思議な ...
そんな儚くも力強い息吹を感じさせる空気の中に、ややもすると不可思議な ...
[つばさ 第二部] 第三章 第二節
「憂鬱なことだ」
つぶやいてから、しまった、と思う。たとえ事実そうなのだとしても、口に出しては余計につらくなるではないか。
フェリクスは簡単に身支度を整えながら、父から譲り受けた剣を手に取った。
「文句を言ってば ...
つぶやいてから、しまった、と思う。たとえ事実そうなのだとしても、口に出しては余計につらくなるではないか。
フェリクスは簡単に身支度を整えながら、父から譲り受けた剣を手に取った。
「文句を言ってば ...
[つばさ 第二部] 第三章 人として在ること
開け放たれた窓から、新緑の香りをのせた晩春の風がゆるやかに吹き込んでくる。晴れた日には肌が暑さを感じ、耳は野の生き物たちの息吹をとらえていた。
あれからどれくらいの日数が経ったのだろう。日の高さ、月の形からして、少なくとも一週間 ...
あれからどれくらいの日数が経ったのだろう。日の高さ、月の形からして、少なくとも一週間 ...
[つばさ 第二部] 第二章 第六節
雨は上がりはじめていた。西の空からわずかに光が射し込み、露に濡れた木々をほのかに照らし出している。
ヴァイクは、こういった情景が嫌いではなかった。
雨上がりの空。
夜明け前の雲。
そういった何かが開 ...
ヴァイクは、こういった情景が嫌いではなかった。
雨上がりの空。
夜明け前の雲。
そういった何かが開 ...
[つばさ 第二部] 第二章 第五節
今日も今日とて、ノイシュタットは平和だった。もこもことした雲がぽつりぽつりと浮かぶ青空に、のんきな鳥が数羽舞っている。風もほとんどなく、呆れるほどに穏やかな日常だった。
こんな日は、どうしても見張り役が退屈でしょうがなくなる。こ ...
こんな日は、どうしても見張り役が退屈でしょうがなくなる。こ ...