無料の高機能クロスプラットフォームのテキストエディタ(メモ帳)[おすすめ]
以下では、クロスプラットフォームのテキストエディタ、コードエディタのみを紹介。
大半のエディタがコードエディタ(プログラミングでソースコードを書くためのエディタ)として開発されているので、初めから複数の主要なプログラミング言語に対応しているものがほとんどだ。
クロスプラットフォームに対応したエディタが意外と少なく、デスクトップOS向けのものだけでも数に限りがある。
最近はブラウザベースのエディタが主流で、ネイティブコードに対応した高速・軽量なエディタはなおさら少ない。
また栄枯盛衰が激しく、すでに開発が止まってしまったエディタも多い。
現行のアプリ
CudaText
公式サイト:CudaText – Home
対応プラットフォーム:Linux (x86, amd64, arm, aarch64), macOS, Microsoft Windows 32/64-bit, FreeBSD, OpenBSD, NetBSD, DragonFly BSD, Solaris, Haiku
開発プログラミング言語:Object Pascal(ネイティブコード)、Python 3.5+(拡張機能)
ライセンス:MPL-2.0(オープンソース)
編集対応プログラミング言語:C, C++, Java, JavaScript, HTML, CSS, PHP, Python, Go, XML(標準対応):総数270以上
Object Pascalというネイティブコードで書かれた軽量・高速なクロスプラットフォームのテキストエディタ(コードエディタ)。
どうもクロアチア語でcudaは「チュダ」と読むらしい。
最近はVisual Studio Codeなどブラウザベースのエディタが多い中、ネイティブコード製のため非常に軽量で高速なのが特長だ。
Windowsはもちろん、Mac、Linuxなどいろいろな環境に対応している(残念ながらiOS/AndroidなどモバイルOSは非対応)。
オープンソースで、ライセンス利用しやすいMPLというのも特長。。
さまざまな拡張機能(アドオン)・プラグインが提供され、前者は人気のあるスクリプト言語のPythonで手軽に記述することができる。
Visual Studio Code
公式サイト:Visual Studio Code – Code Editing. Redefined
対応プラットフォーム:Web, Linux (Debian, Ubuntu, Red Hat, Fedora, SUSE), macOS, Microsoft Windows 11/10 32/64-bit
開発プログラミング言語:TypeScript、JavaScript、CSS
ライセンス:独自(マイクロソフト ソフトウェア ライセンス条項 MICROSOFT VISUAL STUDIO CODE)、MIT
編集対応プログラミング言語:バッチファイル C++ Clojure CoffeeScript Docker F# Go Jade Java Handlebars INIファイル Lua Makefile Objective-C Perl PowerShell Python R Razor Ruby Rust SQL Visual Basic
最も有名なIDEのひとつ「Microsoft Visual Studio」をベースにした、オープンソースのエディタ。MacやLinuxでも使えるようになったことで、今では本家Visual Studioを凌駕する人気を得つつある。
他にもブラウザで動作するWeb版があったりと、さまざまな環境に対応。
ブラウザベースで、HTML・CSS・JavaScriptを利用して独自に拡張することができる。
どれを使うべきか迷ったら、とりあえずこれを選べばいいだろう。
標準でいろいろな言語に対応しているが、基本的にはC#とTypeScript向けのエディタと考えていい。また、プログラミング言語によっては対応する機能が異なるものの、拡張機能を導入すれば大半の環境に対応可能。
マイクロソフト純正のバージョンでは案の定、使用データを同社のサーバーへ自動で送信する機能(テレメトリー)がついているので、それが嫌ならばオプションでオフにしておこう。
その機能が存在すること自体が嫌だという場合は、「VSCodium」を使うといい。エディタ内のテレメトリー機能を削除したこと以外はVisual Studio Codeと同じ内容の別クライアントが有志によってすでに提供されている。こういったことができるのもオープンソースのよさだといえる。
ただしVisual Studioの名前がついていても本家「Visual Studio Community」などとは異なり中身はブラウザベース(Electron)であるせいで、ネイティブコードで書かれた他のエディタと比べて動作がやや遅く、メモリ使用量も多めなのがデメリットだ。
Eclipse Theia
公式サイト:Theia IDE – Open-Source Cloud and Desktop IDE
対応プラットフォーム:Windows MacOS Linux
開発プログラミング言語:TypeScript、JavaScript、CSS
ライセンス:EPL-2.0、GPL-2.0
編集対応プログラミング言語:Python, Java, JavaScript, C++など
エディタというより「自分でIDEを開発するためのオープンソースのライブラリ」といった印象。いろいろな要素を統一的に扱うことから「Theia Platform」と自称しており、IDEとして昔から有名なEclipseの開発を進めるEclipse Foundationが提供している。
Visual Studio Codeをベースにしており、その見た目・内容のIDEや、ゲーム開発目的のレベルエディタを独自につくるためなどにも使え、まさにそのVisual Studio Codeの置き換えを目指して開発が続けられている。
実際にこれまでさまざまな独自アプリに採用されて実績があり、それらはTheia Platformのページで確認することができる。
もちろん、これ単体で通常のエディタとして使うことも可能。
拡張機能も多く存在し、大半のプログラミング言語に対応することができる。
Visual Studio Codeと同じくオンライン版もある。
海外ではそれなりに有名で有力企業からも支援を受けているが、特定の企業の影響を受けてはおらず、「Vender Neutral」を謳っている。
ただし、他のブラウザの機能を応用したソフトウェアと同じく動作がやや遅く、メモリ使用量が多めなのが欠点。
CodeMirror
公式サイト:CodeMirror
対応プラットフォーム:Web
開発プログラミング言語:TypeScript、JavaScript、CSS
ライセンス:MIT
編集対応プログラミング言語:Angular, CSS, C++, Go, HTML, Java, JavaScript, JSON, Liquid, Markdown, PHP, Python, Rust, Sass, Vue, XML, YAML
これ自体が単体のアプリというわけではなく、ブラウザ上でテキストエディタ(コードエディタ)を表示し、検索・テキストを編集するための基本的な機能があらかじめ備わった「ライブラリ」。
すべてHTML・CSS・JavaScriptのみで制御されており、機能や見た目の変更・追加が非常にしやすくなっている。
Web技術だけでつくられているとは思えないほど軽量で高速(だからこそ人気)。
有名なメモ用のWebサービスである「Simplenote」や「クラウドIDE」などと呼ばれる各種クラウド開発サービスでも、現在ではこれをベースに利用していることが多いなど、実績が豊富なライブラリだ。
今後の有望株
Zed
公式サイト:Zed – The editor for what's next
対応プラットフォーム:Linux, macOS(
開発プログラミング言語:TypeScript、JavaScript、CSS
ライセンス:MIT
編集対応プログラミング言語:Angular, CSS, C++, Go, HTML, Java, JavaScript, JSON, Liquid, Markdown, PHP, Python, Rust, Sass, Vue, XML, YAML
Rustという比較的新しいネイティブコードのプログラミング言語で開発されているエディタ。
実際にはテキストエディタというよりVisual Studio Code的なIDEに近い仕様で、チーム内でのコラボレーション機能などがあらかじめ
「思考の速さでコーディングする」というテーマを掲げ、超高速であることを目指しており、現時点で有名なSublime Textと同等かやや上回るほど速い。
現在からすでに注目を集めているものの、未完成の部分が多く対応した拡張機能の数も少ない。まだまだこれからといった印象。
すでに開発が終了したもの
Bracket
Adobeが開発・サポートしていたテキストエディタ。
元々がVisual Studio Codeと同じ方向性で、しかもあまり人気が出なかったこともあって、Adobe自体がVisual Studio Codeの開発に移行しており、同社も今後はそちらを使うようにとアナウンスしている。
まとめ
Webの技術を用いたエディタは開発しやすく、いろいろなプラットフォームに対応してさまざまな機能をつけやすいものの、基本はブラウザと同じなので起動が遅い、動作が重いといった共通の課題がある。
一方、ネイティブコードでつくられたエディタは非常に軽量かつ高速なものの、開発しづらく、クロスプラットフォームでの対応が難しい。
どちらも一長一短あるのだが、ブラウザベースのエディタが普及し一巡した――というよりVisual Studio Codeに集約化された――ことで、どうもネイティブコードの高速エディタへ回帰する流れが一方で起きているようだ。
そもそも後者もPython、JavaScript、Luaといったスクリプト言語に対応し、拡張機能などがつくりやすくなっているので、この点でも前者との差を詰めている。
ただし、未だにデスクトップ(PC)、スマートフォン(モバイル)、Webサービスそれぞれで共通化して使えるエディタがほとんど存在しないことが悩ましいところだ。