[つばさ] 最新話を投稿:第三章 再会 第一節 二――ファンタジーのオリジナル長編小説
最新話を『小説家になろう』に投稿。
(冒頭部分)
緊急事態に似つかわしくない気持ちのいいくらいに澄んだ青空の下、全速力で北西の方角へ向かう。
――状況が状況だが、やっと飛べるな。
もう人目を気にする必要も、あの連中に見つかることを避ける必要もない。久しぶりに思いきり宙を舞うことができる。
さすがに先ほどの翼人たちの姿はまるで見えないが、あの男の村の位置はすぐにわかった。
――火の手が上がってるじゃないか。
前方に、煙の柱が風で西方向へたなびいているのがわかる。
しかも複数。まだ遠くてはっきりとはわからないが、家屋のいくつかが燃えているようだった。
風にのって近づいていくと、村の上空に何人かの翼人の姿も見えてきた。
翼の色がそれぞれ違う。
――やはり、例の連中か。
ある程度、村まで接近したところで、速度を急激に落とした。今のところ相手には悟られていない。現在どんな状況なのかを、まずは確認したかった。
ちょうど村のやや近くに三本の檜|(ひのき)があった。そこに隠れて、村と翼人たちの様子をうかがうことにした。
――なんなんだ?
意外にも、攻めあぐねているのは翼人たちのほうだ。村人たちが弓矢を巧みに用いているので、近づくことさえできないでいる。
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