3Dボクセルゲーム「The Sandbox」とは:仮想通貨とブロックチェーン技術を応用した稼げるゲーム?[まとめ]

2025 年 1 月 10 日

概要

元々はスマートフォンで人気を博した2Dドット絵のパズルアクションゲームの名称だったが、ここでいう「The Sandbox」とはその3Dボクセル版のこと。

マイクラ的にブロックでマップを簡単に構築できるだけでなく、アバターやアイテムなどもボクセルで自作することもできる。

また、それらの所有権を持てるので、もちろん実際にユーザー間で売買することも可能な、いわゆる「GameFi」(ゲームファイ=ゲーム金融)サービスのひとつ。

通常のサンドボックスゲームとは異なり、Etherium(イーサリアム)というブロックチェーンの技術とNFTという一種の仮想通貨(暗号資産)を利用した、いわゆる「ブロックチェーン・ゲーム」で、ユーザーはゲーム用の土地を購入し、その土地で遊べるゲームを開発したり、ボクセルアートをアセット(素材)として売買したりできる。

各ユーザーは、他の人々の土地へ遊びに行くことも可能。

要するに単なるゲームというより、マーケットの機能を持った一種のプラットフォームといえ、20年ほど前に一斉を風靡した「Second Life」にも似たなメタバースともいえる。

そのため、このThe Sandbox用のユーザークライアントは「Game Maker」という名前の一種のツールになっており、クリエイター以外のユーザーはそうした他のユーザーがつくったゲームをプレイしたり、アイテムを集めたりすることで楽しむことになる。

すでに一部大手企業も土地を購入して、さまざまな活動を行っている。

公式サイト

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【画像】The Sandboxのゲーム画面(公式サイトより)

イーサリアムとは

いわゆるブロックチェーン技術を利用したプラットフォームや関連プロジェクトなどのこと。

オープンソースで開発や仕様の策定が進められている。

といってもBitcoinのような単一の技術を規定しているのではなく複数の規格が策定され、中でもブロックチェーン・ゲームでよく使われるのがERC721で規定されたNFT(Non-Fungible Token)になる。

イーサリアムの仮想通貨としてはEther(イーサー)が存在し、略称はETH。

よく勘違いされるが、イーサリアムそのものが仮想通貨というわけではない。

NFTとは

NFTとは、厳密には仮想通貨とは異なり、ビットコインのように1単位ごとの価値が同じとは限らないもので、他に同じものは存在しないことが保証される固有の資産を表しており、その価値はそれぞれ異なるものだ。

The Sandboxでは、ひとつひとつのアイテムやキャラクターがこのNFTに紐付いた固有の資産(アセット)としてネットワーク上で扱われることになる。

始め方

アカウントの登録

画面右上の「サインイン」をクリックし、下記の画面から希望する登録方法を選択。

Create your account – The Sandbox

【画像】サインイン画面

The Sandboxにアカウントを新規登録するには、各種SNSのサービスや仮想通貨ウォレットのアカウントを通す必要がある。

その後、公式サイトからログインする。

ゲームクライアントのダウンロードとインストール

上記のとおりThe Sandbox自体、一種のゲーム開発環境という位置づけなので、クライアントの名前は「Game Maker」となっている。

【画像】公式サイトのスクリーンショット

それを公式サイトからダウンロードしてインストールする。

自作のアセットの作成

The Sandbox内でユーザーが作成可能な3Dモデル(オブジェクト)は、基本的に3種類。

なお、以下でいう「サイズ」とは見た目上の大きさのことではなく、2D画像でいうところの「解像度」のこと。「このエンティティはサイズが128ボクセル」といったら、解像度が縦横高さ128分ということになる。

Simple Entities:置き物など単純な設置用のオブジェクト。サイズは縦横高さ128ボクセルまで。当たり判定は単純。

Compound Entities:複数のSimple Entitiesを組み合わせたもの。サイズは縦横高さ512ボクセルまで。当たり判定は細かくできる。

Animated Entities:基本的にはCompound Entitiesと同じだが、その名の通りモーションをつけてアニメーションさせることができる。サイズは縦横高さ256ボクセルまで。当たり判定は細かくできる。

Block Entities:地形や動かないオブジェクトに使う単一のブロックのこと。サイズは縦横高さ32ボクセルまで。

なお、今のところPC用アバターであるAvatar Entitiesは、公式しかつくれないようになっている。

これらは通常、公式エディタである「VoxEdit」を使って構築していくが、最終的にThe Sandboxで使う.vmx形式に変換すればいい話なので、モデリングそのものはMagicaVoxelなど他のエディタを使うこともできる。

オブジェクトをつくるうえでのくわしい規定はこちらに記述されている。

自作のアセット(素材)の販売

現状、自作のアセットを「ショップ」という名称のマーケットプレイスで販売するには「クリエイターファンド」というボクセルアーティスト支援プログラムに応募し、審査を通過して正式に登録される必要がある。

その後も、販売するアセットごとに審査が必要。

販売にいたるまでの大まかな流れはこちら

ショップとは

【画像】The Sandboxボクセル版のショップ

ユーザーが作成したボクセルアートなどのコンテンツを売買するためのマーケットプレイス。

ボクセルアートは、ブラウザ上で実際に動かしていろいろな向きから確認することができる。

各コンテンツには購入可能数が指定され、The Sandbox用の仮想通貨であるSANDで取引される。

Game Makerとは

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【画像】The Sandbox Game MakerのUI(公式より)

公式サイト:The Sandbox – Game Maker

ボクセル版The Sandbox用のクライアント・アプリであると同時に、その名の通り同サービス向けの自作ゲームを開発するためのツール=統合開発環境(IDE)でもある。

もちろん、ボクセルで構築した地形や置き物などの3Dオブジェクトを設置し、テキスト(スクリプト)によるプログラミングなしに自分オリジナルのゲームをつくることが可能。

といってもプログラムの記述がビジュアル化されただけであって、プログラミングの必要がないわけではまったくなく、むしろある程度の基礎知識は必要になる。

地形の自動生成やあらかじめ用意されたマップのひな形(テンプレート)、クエストの作成機能なども存在。

【ユーザーガイド】
日本語:Game Maker Academy へようこそ! | Game Maker Academy | JP
英語 :Create Experiences | NEW English Documentation

仮想通貨に関連した要素

LANDとは

The Sandboxのメタバース(仮想現実世界)内の土地のこと。

一部のエリアは公式の運営・開発側が確保しているが、現実の資産としての価値を持つので各ユーザーが制限なしで売買することが可能。

LANDのオーナーは他のユーザーを住まわせて彼らから賃料を得ることで、その土地の価値を現実の不動産のように高めていくことができる。

また、このLANDを持っていなければユーザーが開発したThe Sandbox用ゲームを公開できないため、ユーザー側の開発者はかならずLANDを買う必要がある。

公式サイト:The Sandboxとは – The Sandbox Japan公式サイト

SANDとは

The Sandboxのメタバース(仮想現実世界)内で使用される、いわゆるゲーム内通貨。

前述のLAND(土地)やASSET(資産=アイテム)は、このSANDを使って売買する。

The Sandbox用の仮想通貨なので、ビットコインなどと同じように通貨の供給量があらかじめ決められている。

このSANDを持っていると、The Sandbox全体(?)の統治・管理についての投票権を持つことができる。

公式サイト:The Sandbox | SANDトークン

稼ぐには

上記のことを一通り読んでもらえればわかるとおり、普通にプレイすれば稼げるというわけではけっしてない

このブロックチェーンゲームに関して稼ぐ方法があるとすれば2つのみ。

  1. 自分でゲーム内アイテム(Asset)やアバターをつくって売る
  2. 土地を購入して利用料をとる

1は当然だとしても、2に関しては上の説明にあるようにLAND(土地)の価値を高める工夫が必要になる。

他には、手に入れたアイテムや土地を転売することによって稼ぐ方法もあるが、これは一種の投資だ。

よって、結局は投資手法や金融の知識といったスキルが必要になり、その分野に長けた人でないと厳しいと言わざるをえない。