[つばさ] 最新話を投稿:第十章 すべての終止符と喜びと 第五節 二――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
オトマルが覚悟を決めた頃、フェリクスはすでに上階への階段を駆け上がっていた。
思ったとおり、立ちはだかる者はまったくない。時おり人の姿を見かけるが、訓練を受けた兵士ではないようだった。
三階まですぐに来たが、迷わずさらに上を目指す。
あえてここに留まったのなら、より遠くまで見渡せる最上階にいるのが当然だ。もしかしたら、そのさらに上にある小塔にいる可能性もあった。
――しかし、きついな……
弱音を吐いている場合ではないことはわかっているが、さすがに鎧をまとったままでの全力疾走は骨が折れる。
フィデースで負った怪我の状態も思わしくなく、ひょっとしたらすでに傷口が開いているかもしれない。
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