[つばさ] 最新話を投稿:第十章 すべての終止符と喜びと 第五節 三――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。
アットノベルスにも)

(冒頭部分)

 あれは本当にひどい戦だった。もちろん、『いい戦』など初めからあるはずもない。だが同じ戦でも、あのときのものは記憶がまったく薄らぐことがないほどに激しく、そして悲惨なものであった。
「過激な手段をとったそうですね、反乱者に手こずって」
「よく知っているな、当時のことはほとんどが内密にされたはずだが。それに、お前はまだ幼かった」
「ライマルから聞いたんです。あくまで噂としてですが」
「おお、あの道化か。自分の能力を巧みに隠す術を知っている」
「……気づいておられたのですか」
「当然だ。本物の男というのは、黙っていてもその霊光(オーラ)が内側からにじみ出るものだ」
 ゴトフリートは、いつも気のない振りをしていながら、その実、常に鋭い感性を張り巡らしている若い男の顔を思い出し、薄く笑った。

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