[つばさ] 最新話を投稿:終章 明日へ向かって 第二節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
ただひたすらに体を動かす。
まだ風が吹けば肌寒い季節だというのに、自分とその周りにいる者たちはもう汗だくだった。
とにかく、やるべきことが多い。
家を失った人々が無数にいるから、当面、雨露をしのぐところを確保しなければならないし、食糧が絶対的に不足しているから、諸侯から援助してもらわなければ現実問題としてどうにもならない。
瓦礫を運び出し、犠牲者の遺体を埋葬するだけも大ごとだった。数も量も半端ではない。人の遺体を物のように運ぶ作業は、精神に応えた。
――これが人間の業というものなのかもな。
元はノイシュタットの近衛騎士であったヨアヒムは今、帝都の復旧に全面的に協力していた。
あの悲惨な戦いが集結したあと、ノイシュタット騎士団を正式に辞した。
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