[つばさ] 最新話を投稿:第七章 胎動 第七節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
いよいよ、ここまで来てしまった。もう引き返せないところまで。
これまで止める機会がなかったのだから仕方がない。いや、あったのだろう。しかし、決断することができなかった。
やれば、すべてが変わってしまっていた。周りも、自分も、そしてあの人も。
それが怖かった。変化が怖かった。
自分の考えが正しいという自信もなかった。相手が間違っていると言い切れるだけの根拠もなかった。
迷い、悩み、苦しみつづけた結果、いつの間にか時間だけが過ぎてしまった。決断力のなさが、すべての好機を逸することになった最大の原因であった。
だが、やはり、やらなければならないことだ。そのことを、今では確信できている。そして、それをやれるのは自分しかいないということも。
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