[つばさ] 最新話を投稿:第三章 再会 第六節――ファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。

(冒頭部分)

 炎というのは、なぜ人のこころに訴えかけるのだろうか。
 うれしいときには情熱の炎となり、悲しいときには冷たい炎となる。そして、敵意を内に秘めたときは憎しみの炎となるが、今はゆっくりと揺らめく炎にあたたかさと優しさを感じていた。
 もう、夜も更けていた。空にはすっかり夜のとばりが下り、辺りを闇の中に包み込んでいる。
 さらに歩を進めたヴァイクたち一行は、デューペという都市の町影がうっすらと見えるところまでたどり着いた。
 ベアトリーチェの頼みで、そのさらに先にあるシュテファーニという名の神殿に寄ることになっていた。
 だが、町まであともう少しというところで夜営することを余儀なくされた。
 リゼロッテの体調が未だ思わしくないからだ。帝都に到着するまでの予定は、大幅に遅れていたが仕方のないことだった。
「いやあ、でもよかったよ、リゼロッテちゃんがだいぶ回復したみたいで」
 美味しそうに水を飲むリゼロッテを見て、ジャンは優しく微笑んだ。

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