[つばさ] 最新話を投稿:第一章――ファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。

(冒頭部分)

 ひょんなことになったものだと思う。
 様子のおかしい翼人のあとをつけていたら、この町にたどり着いた。そこでひとりの人間と出会い、翼人の集団による襲撃が始まったあとで、またその女と鉢合わせした。
 ――ほんとに、どうしてなんだろうな。
 自分でもよくわからない。
 女のわがままを聞いて炎の中に飛び込み、それから、そいつの仲間らしい連中を助け、挙げ句の果てに意識のない別の女を自分が運ぶことになった。
 自分もとんだお人好しだと思う。
 ――こういう性分なんだ。仕方ない。
 昔から困っている人を見ると放っておけない。人間を助けてやったことも、一度や二度ではなかった。
〝人のために尽くせ〟
 それが、兄の遺志だった。
 ヴァイクはお節介な自分の性格を呪いつつも、カトリーネを抱きかかえて東の森へ向かっていた。幸い、ここまでは他の翼人に見つかっていない。
 というより、明らかに前よりも数が減っている。
 ――なぜだ?
 悪い予感を覚えつつも、予定どおり東へ飛びつづけた。

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