[つばさ] 最新話を投稿:第四章 さよならの言葉 第六節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。

(冒頭部分)

 眼下には瓦礫ばかり。凄惨という言葉がこれほどふさわしい光景はない。
 アルスフェルトの状況は想像を超えるものがあった。無事な建物はほとんどなく、町の外には犠牲者の遺体を埋葬した盛り土が無数にある。
 一方、さすがに翼人による大規模な襲撃はすでにやんでいた。
 しかし、小競り合いはあちらこちらで行われ、圧倒的に劣勢な人間たちがひとり、またひとりと倒れていく。
 驚くべきは、戦士と呼ぶべき存在が人間の側にはまるでいないことだ。
 人間の世界では専門の騎士や衛兵というものが存在し、集落の治安を守っていると聞いたことがあったが、しばらく見たかぎりではそういった人々の影は確認できなかった。
 ――真っ先に翼人にやられてしまったのか?
 十分有り得ることだが、それにしても援軍がやってくる気配がまるでないのはどうしてだろう。西のほうで甲冑に身を包み、馬に乗った集団を見かけた気がするが、あれが援軍なのだろうか。

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