[牙] Chapter 3 episode: Slasher Has Come 3――オリジナル小説(ライトノベル)の連載:最新話

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(冒頭部分)

 芦山を先頭に、それぞれがつま先に重心を移す。
 ――もう、
 一斉に動きだした。
 ――やるしかねえ!
 迷わず、秀真を鞘から解き放った。
 相手の霊力が膨らみきる前に斬り伏せるべく、みずからも相手に向かって跳んだ。
 こちらの一撃をまともにくらえば、その誰もがただでは済まないだろう。しかし、もはや選択の余地はなかった。
 一気に広がった秀真の赤い霊光が、相手をからめ取るように包んでいく。それでも、芦山らに怯んだ様子はまるでなかった。
 ――恨むなよ。
 迷わず、愛刀を思いきり振り下ろした。
 覚悟を決めての一撃であったが、しかし、それは芦山の横をすり抜けていった。
「何っ!?」
 相手の速度は想像以上だった。先ほどまで、その霊力によるパワーにばかり意識が向いていたため、〈過増幅(オーバーブースト)〉された速さを測り間違えてしまった。
 側面に回り込まれたときにはもう、相手が不気味に揺らめく霊気の塊――霊弾を両手で挟むようにして振り上げていた。
 ――まずい。
 もし、これをまともにくらったら――
 蓮は自身の霊力を一気に爆発させ、防御のために障壁を前方に展開する。
 ――間に合わない……!
 目の前に、自分のものではない霊光。
 もはや、大きなダメージを覚悟するしかなかった。
「――――」
 しかし、予想された衝撃は一向に訪れなかった。

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Posted by takasho