[牙] Chapter 3 episode: Angry Boy, Laughing Girl――オリジナル小説(ライトノベル)の連載:最新話

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(冒頭部分)

 生真面目人間、東賀 甲一は怒りや苛立ちとともに、生徒会長である雛子の教室へ急いでいた。
 ――まったく、あの男。なんてことを。
 思い出せば出すほど怒りが込み上げてくる。資料室の一件からしてもいけ好かない奴だと感じていたが、ここまでめちゃくちゃだとは思わなかった。
 目的の教室にたどり着くと、その勢いのまま扉を開けた。
 と、前方には、手に上下の制服を抱えた雛子。
「す、す、す、すみませんっ!」
 これまでにない慌てようで、甲一はあとずさった。男らしく、目は背けないまま。
 しかし、雛子は笑っていた。
「大丈夫、もう着替えてるよ」
「へ……?」
「更衣室以外で着替えるわけないでしょ」
「あ、ああ……そういえば」
 よく見れば、すでに雛子は体操服姿になっていた。
 しかも、周囲に他の生徒の姿はなく、休み時間だというのにしんと静まり返っている。

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Posted by takasho