[つばさ] 最新話を投稿:第九章 始まりの終わり 第九節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。
アットノベルスにも)

(冒頭部分)

 目の前の光景はなんだろうか。
 人間と人間とがぶつかり合い、剣を交え、盾で押し合い、火花を散らしている。その人間は、片方が賊でも暴徒でもない。正規兵同士が真剣に、しかもここ帝都で戦っていた。
 その様子が、ここまで見る者に衝撃を与えるものだとは予想だにしなかった。しかし一方では、ついにこのときが来たのかと納得する面もあった。
 片方は宮廷軍。
 片方は聖堂騎士団。
 この二者は古(いにしえ)よりずっと対立をつづけ、隙あらば互いを滅ぼさんといがみ合ってきた。
 互いに譲れぬものがあり、互いに相容れぬものがある。結果として常に争いの気配をはらみ、常に敵意の炎はくすぶっていた。
 それが表面化したことは、これまで幾度となくあった。中でも最もひどい事態になったのが、六十年前に起きた〝カイザースヴェークの争乱〟だ。
 以前から両者がため込んでいた不満や怒りが頂点に達し、皇帝の宮廷軍と大神官の聖堂騎士団との戦いが勃発。

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