[つばさ] 最新話を投稿:第五章 真実 第五節 一――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
空は、憎らしいほどに快晴だ。
湿気はそれほどないから蒸し暑さは感じないが、とにかく日射しが強い。夏でもないのに太陽の明るさが恨めしくなる。
ヴァイクたち一行はあれから少し休みをとり、しかしすぐにまた歩を進めていた。空は飛んでいない。
ベアトリーチェだけでなくジャンもいるからというのもあるが、ヴァイクの翼の傷はそれが許されるほど浅いものではなかった。
その影響もあるのだろうか、ヴァイクの表情は冴えない。なまじ、空がこれ以上ないというほど晴れ渡っているだけに、彼の暗さが際立ってしまっていた。
それは、他の二人にしてみても同じであった。ベアトリーチェはまた物思いに沈み、ジャンはそんな二人に挟まれてどうしたものかとずっと思案顔だ。
リゼロッテを失った影響は、それぞれが思っていた以上に大きかった。
いなくなって初めてわかる。あの少女の存在そのものが、周りを本当に救っていた。
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