[つばさ] 最新話を投稿:第五章 真実 第五節 三――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説

2013 年 4 月 13 日

最新話を『小説家になろう』に投稿。
アットノベルスにも)

(冒頭部分)

「ノーラ様……」
 ――ああ、そうか。
 ベアトリーチェはひとり、納得していた。
 罪を負って生きていたのはアリーセだけではなかった。ノーラも同じだった。
 ――いや、違う、そうじゃない。
 こころの中で、ベアトリーチェは自身の考えをすぐさま否定した。
 きっと誰しもが、なにがしかの罪を負いながら人生という道を歩んでいる。
 誰も完璧ではない、誰も間違いを犯さないことなんてない。
 程度の差こそあれ、誰もが自身のうちに罪の意識を秘めている。
 自分も、そして隣にいるヴァイクも。
 その白翼の彼は、どこか悔しげに己の拳を見つめていた。
「どうして、人は生きるんだろうな。自分の罪にずっと苦しんでまで」
「すごいことを聞くのね。私に答えられるはずがないじゃない」
 涙をぬぐうと、なぜか怒ったような顔でノーラはヴァイクを睨んた。
「生きて償いきれない罪なら死んで詫びる――それは本当にいけないことなのか?」
「そう言うと思った。これだからガキは……」
 吐き捨てるように言うと、ノーラは立ち上がって男の眼前にまで迫った。
「罪が償える償えないが問題じゃないの! 償おうとすることそのものが大切なのよ。たいしてそれもしていないくせに生意気を言わない!」

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