[つばさ] 最新話を投稿:第五章 真実 第五節 二――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。
アットノベルスにも)

(冒頭部分)

 ヴァイクは首を横に振った。
「そんなことは、どちらの世界でも有り得ないことだ。周りから認められるはずがない」
「そうね。実際、二人のことがばれてしまってからは、アリーセは家族から猛反対されていたわ。あの頃は、私もまだ未熟だったのね。他の家族と一緒になってあの子を説得しようとしていた」
 ――自分のばかさ加減と、あの子の純粋な思いも知らずに。
 アリーセは当然、反発した。それも、当時はおとなしかったあの子からは想像もできないほどに。それだけアリーセの思いは強く、かつ真摯なものだったのだろう。
 だが、そのことに周りの誰もが気づいてやれなかった――自分も含めて。
「私はどうせすぐに熱が冷めるだろうと思って、前から予定されていた神殿に入ってしまった」
 アリーセの思いは、未知への存在の憧れと好奇心が生んだ一過性のものにすぎない、ただの思い込みだろうと考えていた。
 だから、妹の意見を真剣に聞くこともなく、自分はさっさと神殿へ行ってしまった――自分のために。
 しかし、あとになってそれが大きな間違いだったとことに気づく。
「それでも、アリーセの思いは変わらなかった。いいえ、むしろ前より強くなっていったみたい。障害の多い恋のほうが燃えるということかしら」

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