[つばさ] 最新話を投稿:第四章 さよならの言葉 第二節――ファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。

(冒頭部分)

 ルイーゼは人知れず、そっとため息をついた。
 けっして広くはない部屋に大男が二人もいると、むさ苦しいことこの上ない。しかも、片方は背中から翼を生やしているときている。屋内では邪魔でしょうがなかった。
 自分のことに無頓着なのか、あっちこっちに翼の端を引っかけてくれる。そのたびに片付けに走らされる自分としては、たまったものではなかった。
 なのに、当の本人はゴトフリートと楽しげに何やら会話をしているのだから、腹立たしいったらありゃしない。
「何かいいことでもあったのか?」
「ああ、懐かしい顔に会った」
 ゴトフリートが声をかけると、白翼の大男――マクシムは、にやりと笑って答えた。
「懐かしい顔、か。うらやましいことだ。私も会いたい男がいるのだが、今はさすがに動けん」
「男か。女っ気のないお前らしい」
 二人は笑い合うが、それを聞いていたルイーゼはむっとした。
 ――自分は女の範疇に入ってないとでも!?
 そんな彼女の気も知らず、二人の会話はつづく。

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