[つばさ] 最新話を投稿:第十章 すべての終止符と喜びと 第六節 四――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。
アットノベルスにも)

(冒頭部分)

 ヴァイクは、久しぶりに戦慄を覚えた。
 ――これがマクシムの本当の実力なのか。
 圧倒されるとはまさにこのことで、ほとんど何もさせてもらえない。
 後手に回ってしまったのも痛かった。正攻法では勝ち目がないことは初めからわかっていた。
 こちらは、常に動き回りながら相手の隙をうかがう戦い方をしなければならなかったのに、もはやその余裕はなく、相手もそうした戦法に慣れてきているようだった。
 八方ふさがりとはまさにこのことだ。攻めることもできなければ引くこともできない。しかし、このまま耐えつづけていても、いつかはやられてしまうことは明白だった。
 なんとかしなければならない。しかし、なんともならない。罠にはまって逃げ出せず、ただ死を待つしかない兎のような気分だった。
〝誰だって、窮地に陥るときはある。大切なのはそうなってもあわてず、あきらめないことだ〟
 また、昔の言葉が頭の中で反響する。

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