[つばさ] 最新話を投稿:第十章 すべての終止符と喜びと 第五節 四――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
だが、ゴトフリートの異変に気づいたのはそのときだ。
額に大粒の汗をかき、呼吸が荒くなっている。
それでもゴトフリートは、それを意に介した様子もなく話しつづけた。
「だがな、フェリクス。罪はいつか精算せねばならん。それもまた世の理(ことわり)なのだよ」
「悪をなせば、その分、かならずみずからに返ってくる――小父上が以前からよくおっしゃっていることですね」
「そうだ。だから私も……そのときが来たのだ」
「!」
まさか、と思った。
目の前で、ゴトフリートがくず折れるようにして椅子に腰かけた。背もたれに上半身を完全にあずけたその姿は、明らかに常軌を逸していた。
「小父上!?」
「あの薬師(くすし)め……頼んだとおりではあるが、効くのが遅すぎるわ」
いつも無表情なレナートゥスのことを思い起こし、ゴトフリートは苦笑を浮かべようとしたが、それさえもままならない。顔は無意識のうちにも歪み、その苦しみがありありと表情に出ていた。
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