[つばさ] 最新話を投稿:第八章 終わりの始まり 第三節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。
アットノベルスにも)

(冒頭部分)

「まったく、無茶をなさいますね、殿下は」
「無茶をするしかない状況なんだから、仕方ないでしょう」
 二人がいつものように言い合いをしながら、いつもとは違うところを進んでいた。
 アーデは馬車に、ユーグは馬に乗って、きれいに舗装されているとは言いがたい道を北東へと向かっているところだ。
 二人の前後には、数多くの護衛の兵士たちが付いている。
「でも、今回はユーグだって賛成してくれたじゃない」
「渋々、ですが」
「渋々だろうが嫌々だろうが、賛成した以上は同罪よ」
「相変わらずの横暴さですね」
 ユーグはこめかみに手をやって、あからさまに天を仰いでみせた。
 アーデらはかねてからの予定どおり、都市デューペの近くにあるシュテファーニ神殿へ向かっているところだった。
 すべては帝都の動向をより早く探るため。
 これから、リヒテンベルクで何かが起ころうとしていることは疑いようもない。それに迅速かつ的確に対処するためには、その近くまで行くことがもっとも手っとり早かった。
 だから、〝仲間〟たちもあとでこちらのほうへ来る予定だ。もしかしたら、もうすでに追いついているのかもしれないが、そのうち連絡があるはずだった。

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