[牙] Chapter 5 episode: Safe House 2――オリジナル小説(ライトノベル)の連載:最新話

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(冒頭部分)

「あー、来た来た」
 笑顔になった雛子の視線の先には、えんじ色の制服をまとった四人が内門をくぐるところだった。
 しかし、薄茶色の髪をした男だけが、なぜかじたばたともがいている。
 圭が首を傾げた。
「なんであいつ、結界で引っかかってんだ?」
「ふんっ、日頃の行いが悪いんだ」
『お前が言うな』という台詞とともに頭を小突かれた蓮であったが、反省の色はまるでない。
 一同が見つめる中、〝魔法少女〟の術によって結界に穴を空け、ようやくこちらへ近づいてきた。
 ポニーテイルのセーラー服姿をした女の子の浮かべる笑みに、圭がこころをときめかせた。
「おー、めいチャン」
「あ、駄目、圭くん」
 ハグしようとする圭を手で制し、しなやかな所作でするりとよけた。
「テメエ、圭ィ……」
 隣にいた洋太が激昂したことは言うまでもない。
「んだよ、〝ポチ〟には関係ねえだろ」
「ムカツクんだよ」
「それは嫉妬か? 男のやきもちは見苦しいぞ」
「うるせえ!」
 そこに割って入ったのは、意外にも雛子だった。
「圭くん、浮気しちゃ駄目だよ。〔彼女いるでしょ〕」
「……それは」
 違う、と否定したいところだったが、女性陣の視線が突き刺さり、何も言えなかった。

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Posted by takasho