[牙] Chapter 5 episode: Guys, Start Your Engines――オリジナル小説(ライトノベル)の連載:最新話

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(冒頭部分)

 昼休み、天のやわらかい光を浴びながら、二人の男がだらしなく寝そべっていた。
 ほとんど微動だにせず、ただポカンと天上をゆっくりと動くわずかな雲を眺めている。ほとんど寝ているような状態だった。
 そこへ歩み寄る細い影があった。その表情、足取りからは、わずかに怒りの波動が発せられている。
「やっぱりここにいた」
「めいか~」
「『めいか~』じゃない。堂々とサボって」
 怒気をさらにふくらませ、上履きが床を叩く音が大きくなっていく。
「それ以上近づくと見えるぞ」
「いいよ、今日は下スパッツだし」
「最近の女は男のロマンをわかってねーな」
 握りっぱなしだった携帯電話を手に、むくりと起き上がった。
「例のアレだろ? 合同合宿の――」
「そう、みんなで準備してるんだから、ちゃんと手伝わないと。もう、浩樹くんまで一緒になってサボるなんて思わなかった」
 非難の目を向けられ、大柄な男は申し訳ないとばかりに頭をかいた。

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Posted by takasho