[つばさ] 最新話を投稿:第九章 始まりの終わり 第十一節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
低い雲が凄まじい勢いで流れていく。
ここまでは、あらゆることが順調に推移していた。
狙いどおり宮廷軍を一気に壊滅させ、残存兵には空中から矢を射かける。四つの大門を閉じたままにさせておくことで市民を外へ逃がさず、帝都内の混乱をさらに大きくする。
そこへ、業を煮やした諸侯の軍が突入を強行する。しかし、それによって帝都内はさらに混迷の度を深め、結果として諸侯の軍も思うように動けなくなる。
さらに、大神殿側が決断してくれたのも朗報だった。
ぎりぎりまで聖堂騎士団が動くかどうかはこちらにもわからなかったが、彼らが介入してくれたおかげで帝国側の混乱と焦燥はいや増した。
――今のところ、ほぼすべて台本通りだ。
やや信じがたいほどにうまくいっていることが、かえって気がかりなほどであった。
――この強い雨だけは厄介だが。
飛べなくなるわけではないが、翼が濡れて重くなると余計な体力を使う。何より、不快で仕方がない。
(つづきを読む)