[牙] Chapter 4 episode: My Hope――オリジナル小説(ライトノベル)の連載:最新話

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(冒頭部分)

「道に迷っちゃった……」
 少し癖のある黒髪の少女は、広すぎる校内でさまよい歩いていた。
 黒のセーラー服というシンプルな制服を身にまとった彼女は、まったく方向感覚が掴めないらしく、同じところで右往左往していた。
 人に道を尋ねようにも、今はもう授業中なのか、それとも場所が悪いのか、周囲に人の姿はない。
 途方に暮れて立ち止まったとき、ふと不自然な気配を感じた。
 否、これは明確な霊気。
 ――下へ向かってる?
 急速に動くそれは、自分の下方をどんどん移動しているようだった。
 ――地下なのかな?
 階下へ向かいたいのだが、もう一度周囲を見回しても標識や案内図のような物はなかった。
 ――急がないと。
 もたもたしている暇はない。ここに〝彼女〟が再び来ていることはわかっているのだ。
 急がなければ、また間に合わなくなってしまう。
 焦った少女は余計に動き回り、余計に目的の場所から離れていく。方向音痴な人間にありがちな行動パターンであった。
 ――助けて、お兄ちゃん……

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Posted by takasho