[牙] Chapter 4 episode: Dangerous Classroom 2――オリジナル小説(ライトノベル)の連載:最新話

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(冒頭部分)

 喧噪は、廊下でも変わりがなかった。あちらこちらで生徒がグループをつくり、無駄話に花を咲かせている。
 ――ふんっ、暇人どもめ。
 あからさまな嘲りを含んだ視線で周囲を見回してから、蓮は歩きだそうとした。
 その行く手に、巨大な影が立ちはだかった。
「待て、華院 蓮」
「待たん」
「待てと言っている」
 長い腕が伸びてきて、蓮の首根っこを見事に掴んだ。その途端、哀れな子狐は両腕をだらんとさせ、なすすべなく立ち往生した。
「なんだ、夏目 戒。俺は、貴様と違って忙しい」
「教師を貴様と呼ぶな。俺だって忙しい。だから、今すぐ地下の倉庫へ行って〝B-1-1-6〟と書かれた筒を持ってくるんだ」
「なんで俺がそんなことを。断る」
「堂々と拒絶するな。行かないと後悔するぞ」
「俺は、そんな言葉とは無縁だ」
「そうか」
「そうだ」
「そうかそうか」
「そうだ」
 なぜかあっさりと蓮を解放した。
 さっさと立ち去ろうとする蓮に、戒がわざとらしくつぶやいた。
「その眼鏡の力、弱めてやろうと思ったのに。残念だ」
「!?」
 小声でぼそっと発せられたその一言に、蓮は過剰に反応した。
「どういうことだ」
「別にぃ?」
 あからさまに嫌みな顔で、戒は口笛など吹いている。

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Posted by takasho