[つばさ] 最新話を投稿:第八章 終わりの始まり 第四節 二――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
「閣下、もっと早くお会いしたかった。できればアルスフェルトの件の直後、遅くともこの会議が始まる前に」
ゴトフリートに反応はない。しかしその瞳には、わずかに苦悩の色が宿っていることが見て取れた。
それは、何を意味するのだろう。
「私も会いたかった、と言うのは嘘になるだろうな」
「明らかに私と会うことを避けていましたからね。いや、私だけではない、他の諸侯とも」
ここ半年、他領の人間でカセル侯と接触できた者はひとりとしていない。この期間は事実上、姿をくらましていたと言い換えてもいい。
だから、
「何をしておられたのです? それ以前に、何を考えておいでなのです?」
「単刀直入に切り込んできたな」
ゴトフリートは困ったように苦笑した。
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