[つばさ] 最新話を投稿:第十章 すべての終止符と喜びと 第六節 二――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
それにしても――
「なんて奴だ……」
完全に剣を引き抜いたマクシムのほうを見ながら、ヴァイクは内心、戦慄に震えていた。
こちらが背後をとったと思ったとき、うしろを振り返らずに勘だけで強引に横に薙ぎ払ったのだ。
しかも無茶な攻撃を放ったことで体勢が狂ったはずなのに、間髪を入れずに詰め寄ってきた。
恐るべきその戦闘能力。恐るべきそのセンス。
翼人最強というその称号は、だてではなかった。
だが、衝撃を受けているのは、かならずしもヴァイクだけではなかった。
「それはこっちの台詞だ。まさかすべての攻撃をことごとくかわされるとは思わなかったぞ」
ここまで四撃。
そのいずれもが、普通ならばほぼ確実に相手を仕留めているはずのものだった。しかし反対に、すべてをものの見事にかわされ、かすり傷ひとつ負わせることもできなかった。
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