[つばさ] 最新話を投稿:第九章 始まりの終わり 第八節 一――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。
アットノベルスにも)

(冒頭部分)

 雨が降りだした。
 ――さっきまであんなに天気だったのに。
 周りの炎による熱気と日差しで恨めしいほどの熱さを感じていたが、そこへ雨が降りそそいだ。
 いつの間にか帝都の上空は暗く厚い雲で覆われ、上へと立ちのぼる煙と見分けがつかなくなっている。
 ベアトリーチェは今、西の大門へ向かっていた。すでに助けた子供を宮殿に預け終え、路地裏の狭い道を西へひた走った。
 幸い、保護したあの子は宮殿側が受け入れてくれることになった。もし拒絶されたらどうしたものかと途方に暮れているところであったが、応対した宮廷兵は少し迷いつつも承諾してくれた。
 こちらが神官だったせいもあるのかもしれないが、この非常時でも人の優しさに触れることができたのはよかった。
 子供は、別れるときにはすでに意識を取り戻していた。さすがに気が動転しているようではあったが、これであの子の安全に関してはもう心配はない。

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