[つばさ] 最新話を投稿:第九章 始まりの終わり 第一節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説

最新話を『小説家になろう』に投稿。
アットノベルスにも)

(冒頭部分)

 誰にとっても重要なこの日は、笑ってしまうほどの快晴であった。西の空にわずかに雲が見えるが、青い部分がほぼまんべんなく天蓋を覆っている。
 辺りは、喧噪に包まれていた。気分の高揚を抑えきれない同志たちが激しい言葉を交わし合い、血気にはやった若い連中が肩ならしとばかりに剣を打ち鳴らしている。
 マクシムはそんな仲間の姿を半分頼もしげに、半分不安げに、そしてわずかな罪悪感を覚えながら眺めていた。
「マクシム」
「……クラウスか」
 振り返ると、そこには信頼すべき副官がいた。
 クラウスは落ち着いた表情をしながらも、目には切れるような鋭さを湛(たた)えている。
「いよいよだな」
「ああ、ここまで長かった気もするが、順調すぎるくらいに順調だった。俺たちがやろうとしていることから考えれば、短いくらいなんだろうな」
 故郷の部族を離れてからいろいろなことがあった。

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