無料のオープンソースCMSを比較 CMSとは 主にPHP製を紹介[おすすめ]

2022 年 10 月 24 日

ここでは、自分なりのサイトを構築するためのシステムであるCMS(Content Management System)を紹介する。

使い方によっては、ブログのような単なる情報サイトだけでなく自前のSNSやグループウェアを作成することも可能。

CMSは素の状態(初期状態)ではたいした機能はほとんどないため、プラグイン(モジュール)を追加していく形で自分が必要な機能を構築していく必要がある。よって、当然ながらプラグインの種類が多いシステムほど使い勝手がいいといえる。中には、掲示板やWikiの機能をまるごと追加できるプラグインも存在する。

全体としてCMSは、サイトを作成するための一種のツールであるともいえる。

おすすめ:開発継続中のもの

WordPress

情報量:最多
導入のしやすさ:高
プラグインの量:最多
テーマの量:最多
プログラミング言語:PHP

おなじみ、世界で最も有名なブログシステム。比較的最近になってからCMSだと名乗りはじめたが、基本はあくまでブログのためのもの。CMSとして使えなくもないが、やはり限界がある。

他を圧倒する強みがあるとすれば、それはプラグインやテーマの多さ。たいていの機能は探せば手に入るだろうが、一方でブログシステムという領域から外れるような大幅な改変を行うプラグインを導入すると、結局はそれぞれの相性の問題が出てしまい、不具合が出たり特定のプラグインが使えなかったりすることもよくある。

ブログのような記事を公開することを目的とするサイトにはおすすめだが、反対に、かならずしもそれが目的ではない場合は素直に他のCMSを使ったほうがいいだろう。

一方で、情報の多さは凄まじいほど。「~がしたい」「~って何」といった質問の答えも日本語のくわしい記事ですぐに見つけられるくらいだ。これほど初心者向けのものも他にはないだろう。

特にプログラミング言語のPHPが使える人なら簡単に自分でプラグインなどを開発できるため、中級者・上級者向けのカスタマイズやWebアプリの勉強にも間違いなく向いているといえる。初心者にも玄人にも適したシステムだ。

ただし人気ゆえに、悪意を持った攻撃者(ハッカー)にも狙われやすいという特徴もある。セキュリティアップデートはこまめに行うようにしよう。

といっても、この点もさほど心配するには及ばない。人気が高いということは開発者も多く、セキュリティホールが見つかったとしてもすぐに対処されるからだ。システム本体の開発も順調で、しかも米国の法人であるAutomattic社が後ろ盾となっていることはやはり大きい。

最近は人気が頭打ちの傾向にあるが、それでもしばらくは安泰だろう。

Joomla!

情報量:多い
導入のしやすさ:高
プラグインの量:多い
初版:2005年
プログラミング言語:PHP

世界第2位のシェアを誇り、あくまで前提はブログシステムであるWordPressを除くと実質トップ。

公的部門のシステムとして採用される事例も複数あるほどで、人気・情報量ともに申し分なく、こちらを選んでおけば間違いはないだろう。

ただし長年に渡って人気が減少しつづけており、この傾向はおそらく今後も止まらない。素直にWordPressを使ったほうがいい場合も多いはずだ。

Drupal

情報量:多い
導入のしやすさ:低
プラグインの量:多い
プログラミング言語:PHP

世界第3位の人気CMSで、WordPress(2003年~)と同じくらい歴史が長く(2001年~)、情報は豊富。モジュールと呼ばれるプラグイン(拡張機能)も非常に多種多彩で、欲しいものはたいてい見つかるだろう。自前のSNSを構築する「Open Social」のように、複数のモジュールをまとめたディストリビューションと呼ばれるセットも提供されている。

個人・法人問わず導入実績も豊富で、安心して運用できるものだ。

一方で昔から仕組みがわかりづらく、開発者向けであって一般向けではないという指摘が多い。現在は改善された部分もあるが、この辺がWordPressやJoomla!の人気に及ばない原因だろう。

おすすめ以外

Movable Type

ブログシステムが話題になった初期に一世を風靡したもの。その後WordPressが人気になったことで下火となったが、現在では日本の企業が全権利を持ち、一定の開発は継続されている。

基本的には有償だが、個人利用に限り無償で使うことができる。

全体的にWordPressと比べてプラグイン、テーマ、関連情報などの量・質ともに物足りず、あえてWordPressを捨ててまで使う理由はまったくない。

開発が終了したもの

XOOPS

かつてはそれなりに人気のあったCMSだが、現在では事実上、開発は終了してしまった。

これといって特長があるわけでもないので、素直にDrupalかJoomla!を使おう。

XOOPS Cube

上記XOOPSが日本語に対応していないため、元のプロジェクトから分岐(フォーク)して新たに生まれたCMS。名前が似ていて共通する要素もあるものの、基本的には別物と考えたほうがいい。

歴史は古く、昔から国内において一定の人気はあったが、現在では開発が滞ってしまっている。それに、日本向けの内容であるため海外からの支援を受けづらく、日本での人気まで落ちてしまった今となってはすでに「終わった」プロジェクトだ。

まとめ

最近は企業が有償で提供するクラウドサービス(SaaS)としてのCMSが増えてきているが、ほとんどの場合、上記の無料で使えるオープンソースのシステムで十分すぎるほど。

これなら細かいカスタマイズがしやすく、WordPressなどメジャーなCMSならばプラグインやテーマが豊富なため、自前でさまざまなことが可能になる。

情報も豊富なので、こちらを選択しない手はないだろう。