Policy Plusとは:使い方の解説 無料で使えるWindowsローカルグループポリシーエディターの代替
“Policy Plus”とは、標準ではWindows 10 Proのバージョンにしか存在しない「ローカルグループポリシーエディター」(gpedit.msc)とほぼ同等の機能を有する、オープンソースで無料のソフトウェアのこと。
OSの重要な設定であるローカルグループポリシーを変更するためにエディタがないWindows 10 Homeエディションのユーザーにとって意味があるだけでなく、非常に軽量かつ使いやすいのでWindows 10 Proエディションのユーザーにとっても使う価値はある。
基本的な使い方はローカルグループポリシーエディターと同じであるため、それを利用した経験のある人ならそのまま扱えるはず。
Win10 Homeのローカルグループポリシーエディター
ちなみに、Windows 10 Home版に標準のローカルグループポリシーエディターをあとからインストールする方法もあるが、Microsoftが公式に認めている方法ではないので正常に動作するかわからず、また規約上、本当に問題ないのかも判然としない。
しかもOS自体のアップデート時に勝手に削除されてしまうこともあるため、無理にローカルグループポリシーエディターをインストールするよりもこのPolicy Plusを素直に使っておいたほうが無難だ。
ローカルグループポリシーとは
Windows OSで通常の設定画面では変更できないような細かい設定や、重要な設定を変更するためにそれらをまとめた「定義のまとまり」のこと。
ただ、実際には昔からあるレジストリを書き換えているだけ。
そのため、直接レジストリをいじれるだけの知識・スキルがあるのなら、特にローカルグループポリシーのことを知らなくても問題はないものの、レジストリはWindowsの動作に直結するので、ちょっとしたミスでもOSがまともに起動しなくなるなどの弊害が出てしまうリスクがある。
また、そもそもレジストリの各項目にはまともな説明どころかわかりやすい名前すらつけられていないのが通例で、ただでさえ扱いづらい。
そこで、初心者にもわかりやすく設定しやすいようにつくられたのがこのローカルグループポリシーの仕組みで、Windows 10になってから注目されるようになったが実際は似た仕組みはWindows XPの時代から存在し、現在の10と互換性があるものでもWindows Vistaまでさかのぼることができる。
けっして特殊なものではないものの専用のエディタが必要で、しかもグループポリシーのファイルとさらにそれを各国言語に対応させる言語ファイルが必要になるため、かえってややこしくなってしまっている部分もある。
ダウンロード
Githubの該当ページの下部にある「Download a Release build」のリンクからダウンロードして実行するだけ(インストールは不要)。

ポリシーファイルのダウンロードと読み込み
Windows 10 Homeの場合、そもそもローカルグループポリシーの各項目が必要最小限のものしかデフォルトでは用意されていないので、複数のグループポリシーをまとめた「ADMXファイル」をまず読み込んだほうがいい。
それをMicrosoftは「グループポリシー管理用テンプレート」と呼んでいる。
以下ではWindows 10 Pro版にあらかじめ用意され、Home版にはないグループポリシーファイルをダウンロードし、読み込む手順を解説する。
他のグループポリシーを適用する場合も基本的にやり方は同じ。
ポリシーファイルのダウンロード
下記のサイトから、自分のWindows OSのバージョンに合ったものをダウンロードする。
例:現在使っているOSが「Windows 10 October 2020 Update (20H2)」ならば「Windows 10 October 2020 Update (20H2)用の管理用テンプレート (.admx)」を選ぶ。
* Home版かPro版かは、ここでは関係ない。
インストーラ形式(.msi)なので、画面のウィザードに従ってインストールする。
【注意点】
以下の方法で、Policy Plusから直接読み込むこともできる。
上部メニューバー「Help」
>Acquire ADMX Files
ただしこの方法だと、どのバージョンのポリシーファイルがダウンロードされるか判然としないため、やめておいたほうがいいだろう。
ちなみにあえてこの機能を使うならば、「Destination Folder」のテキストフィールド(フォーム)にOS標準のポリシーファイル用フォルダのアドレスを指定する。
通常は「C:\WINDOWS\PolicyDefinitions」。
ポリシーファイルの読み込み
MicrosoftがWindows OS向けにリリースしているポリシーファイルファイルに限らず、Googleなどサードパーティが提供するものも同様にいったんファイルをダウンロードして個別に読み込む必要があるが、「Open ADMX Folder」で特定フォルダ内にあるADMXファイルを一括で読み込むことができる。
上部メニューバー「File」
>Open ADMX Folder
上記の場合、インストール/展開時に指定したフォルダを入力する。
各ファイルを個別に読み込むこともできるものの、ファイルが多いと流石に面倒であるのと、ポリシーファイルによっては他のファイルと連携している場合もあり、特定のファイルが欠けると不具合が出る可能性もあるため、上記のように一括で読み込んだほうがいい。
読み込み後、左ペインのツリー内容が更新されたら成功だ。
ポリシーファイルの設置と保存場所
読み込んだことによってポリシーファイルの内容がシステム(OS)に適用された(インストールされた)かのように思えるが、実際には何も変化はない。
つまり、設定を変更したいポリシーファイルは毎回読み直す必要があるが、裏を返せば必要なものだけ読み込める形なので処理が軽く、気楽に使えるというメリットにもなる。。
それが面倒な場合は任意のフォルダに複数のポリシーファイルを集めて一括管理するか、Windows 10標準の「C:\WINDOWS\PolicyDefinitions」に移動させよう。
この場合、管理者権限の関係でいちいち許可のダイアログが出てしまうので面倒だが……
ポリシーの変更
個別の項目の設定を変更するには、左ペインのツリーから該当するカテゴリーを探し、それをクリック。
右ペインに設定可能な項目の一覧が表示されるので、対象をダブルクリック。
それぞれ任意の値に変更し、「Apply」/「OK」ボタンで適用する。
ポリシーの保存
注意が必要なのが、このとき「Apply」や「OK」をクリックしても設定した内容はstrong{保存されない}。
以下の方法で明示的に、保存する必要がある。
上部メニューバー「File」
>Save Policies
なお、ここで保存されるのは各項目の「設定」だけであって、ポリシーファイル(テンプレート)そのものがOSに保存されるわけではけっしてない(実際には、各レジストリの値を変更するだけだから)。
そうしたい場合はすでに述べたとおり、手動でWindows 10標準のフォルダに保存する必要がある。
ポリシーの検索
上部メニューバー「File」
>Find
各ポリシーにおけるレジストリ上の名前だけでなく、IDや関連したテキスト(ポリシー名や説明文)からも検索できる。
ちなみにIDというのは、各ポリシーに設定された固有IDのこと。
左ペインのツリー表示にある各項目を右クリックしてメニュー「Details」をクリックすると表示される「Policy Details」ダイアログの「Unique ID」がそれ。