Windows 10を高速化・軽量化する方法:遅い・重いときの対処法 余計なサービスを無効化[2021年版]

ここではWindowsを最適化し軽くするための、Webにあまり情報のない突っ込んだ内容、ちょっとした情報について記載。

基本方針

余計なサービスを止める

Windows 10は複数のサービス(内部ソフトウェア、バックグラウンドアプリと呼ばれることもある)の同時実行によって成立しているが、中には明らかに余計なもの、処理が遅くてユーザーの作業を邪魔するものが確実に存在し、サードパーティ製のものであってもゲームストアのポータルアプリのように常駐するタイプのものが増えている。

したがって、いかにこれらを停止するかがポイントとなり、それによって単純に処理の負荷が軽減するだけでなく、メモリが節約されることによる間接的な高速化の恩恵も受けられる。

負の連鎖を止める

現在のOSはWindowsに限らず非常に複雑化しているので、ユーザーがなんらかの入力をするとサービスからサービスへと連鎖的にいろいろな処理が始まってしまうことがある。

これを断ち切るためにも、上記の余計なサービスやソフトウェアを止めることが第一のポイントになるが、それ以外にも「なるべくOSの機能に触れないようにする」などといった工夫が必要になる。

要は、なるべくサードパーティ製のソフトウェアやアプリに移行したほうがいいということ。

Windows Updateを止める

【画像】Windows Update Blockerのスクリーンショット(公式サイトより)

専用のソフトウェア(フリーソフト)を使う。

いずれもインストール不要でシンプルかつわかりやすい設定でありながら、ほぼ確実にWindows Updateの自動実行を止めることができ、しかも手軽にオンオフを切り替えることも可能なため、手動でのWindows Updateの実行がやりやすいという特長がある。

Windows Update Blockerは公式サイトが英語だがソフトウェア自体は日本語に対応し、現在もアップデートが継続されているのでこちらのほうがお勧め。

一方、Windows Update Settingsは日本人開発者がつくったもので公式サイトも日本語だが、2019年1月の段階で開発がストップしているので最新版Windows 10でも効果があるかどうかは不明(ただ、他にCortanaの動作を抑止するなど便利機能もある)。

解説

Windowsが突然遅くなる最大の原因がWindows Updateなのは間違いない。

以前、Microsoftは「ユーザーの作業の邪魔をしないように行われる」などと主張していたが、実際にはどんな処理をしている場合でも強引に割り込んでくることがあり、確実に大丈夫といえるのはMicrosoftが“ゲーム”として認識しているアプリの起動中など、あらかじめWindows Updateを実行しないように設定されている場合だけだ。

よって、Windows 10の高速化・軽量化のためにはまずWindows Updateの自動実行を止めることが重要になる。

というのも単にOSの更新だけでなくインストール済みのソフトウェア、特にWindowsアプリの更新も対象となっているせいで、頻繁に更新作業が始まってしまうためだ。

AppX Deployment Service(AppXSvc)というWindowsサービスがそれで、これが動き出すとインストール済みのソフトウェア、特にすべてのWindows アプリの更新が始まってしまうことがあり、しばらく止まらなくなる。

また、どうも「Microsoft Compatibility Telemetry」が動き出すこともあるようだ。

詳細は下記にあるが、これもいったん始まるとシステムが非常に重くなってしまう場合がある。

対策として標準ではグループポリシーを設定する方法があるが、ややこしく面倒であるのと、わざわざこれを設定しても結局はWindows Updateの自動実行が止まらないこともあり、他の操作が必要になってしまうのであまりお勧めできない。

なお、これらのユーティリティソフトは完全にWindows Update関連のサービスを停止させるというより、それらを常時監視し、起動した瞬間にすぐ停止させるといったことをくり返す仕組みになっているため、このソフト自体がわずかにPCのリソースを消費してしまうがほとんど気にするレベルではないので安心だ。

ソフトウェアのインストーラーを使わない

Microsoft StoreのWindowsアプリやEXE・MSI形式のWindows標準インストーラーを使わず、できるだけZIPでまとめているだけであったり独自のインストーラーによる簡易版であったりするソフトウェアのほうを使うようにしよう。

要するに、OSというシステムに登録する形のソフトウェアは控えるようにし、たとえばブラウザのGoogle ChromeやMozilla Firefoxなら通常版ではなくPortableApps.comのポータブル版(Portable Edition)のほうを選択する。

Chromeポータブル版とは

こうすることによって上記のAppX Deployment ServiceやMicrosoft Compatibility Telemetryなどのサービスが勝手に起動する頻度を減らし、仮に起動してしまったとしてもそのときの更新対象を減らすことによって処理にかかる時間が短くなることが見込まれる。

他にも、OS固有の設定ともいえる「レジストリ」を不必要に肥大化させたり汚したりすることを防ぐメリットもあるので、代替手段がないならともかく、ZIP版などが用意されている場合は積極的にそちらを使うようにしよう。

パソコンを買い替えたときの引っ越しや複数の端末で同期を取りたい場合などに扱いやすい点も○(フォルダごとコピーすればいいだけなので)。

インデックスサーチを止める

「Windowsキー+R」で「ファイルを指定して実行」を開く
>「services.msc」と入力
>サービスの一覧から「Windows Search」を探す
>右クリックメニュー「プロパティ」
>「スタートアップの種類」プルダウンメニューの「無効」
>適用/OK

【画像】Windows Searchサービスのプロパティ画面

解説

インデックスサーチとは、OSのファイル検索を高速化するために事前に各フォルダ(ディレクトリ)内にあるファイルを走査し、そのリストを構築しておくための機能。

Windows 10では「Windows サーチ」と呼び、「SearchIndexer.exe」の実行ファイルがサービス名「WSearch」として登録されている。

これもWindows Updateなどと同じでMicrosoftは「ユーザーの作業を邪魔しない」と主張しているが、環境によってはストレージへのアクセスが過多になり、結局はシステム全体が重くなってしまうことがある。

しかもそれを我慢したとしても、エクスプローラーなどにおける実際のファイル検索は思ったよりも速くはならず、あまり効果を期待できない場合もあるのでオフにしてしまっても悪影響は少ないと思われる。

【代替手段】かわりにサードパーティ製ファイル検索ソフトを使う。こちらのほうがおすすめできる要素は多い。

Microsoft Compatibility Telemetryを止める

タスクスケジューラーを起動
  「Windowsキー+R」で「ファイルを指定して実行」を開く
  >「tasksche.exe」と入力
>左ペインのツリーから「Microsoft」>「Windows」>「Application Experience」を選択
>中央上にあるペインの「Microsoft Compatibility Appraiser」を選択
>右下にあるペインの「無効化」をクリック

解説

表示名「Microsoft Compatibility Telemetry」、プロセス名「compattelrunner.exe」、タスクスケジューラーのタスク「Microsoft Compatibility Appraiser」。

これは、Windowsの互換性チェックのためにシステムの使用情報を収集してMicrosoftへ送信するための機能のことで、定期的に実行されてシステム内を検索・解析するため、場合によってはマシンが非常に重くなってしまうことがある(CPU使用率100%が長くつづくことも)。

しかも、ユーザーには直接の関係がない=意味がない機能であるにもかかわらず、通常の設定では動作を停止・禁止させることができないという厄介者。

ただし、タスクスケジューラーで単純にくり返し実行する設定になっているだけなので、これを上記のように無効にすれば確実に止めることができる。

マイクロソフトは「個人情報は収集しない」としているが、集めようとしている情報の内容を公開しようとしないのでユーザーからは本当に大丈夫なのか通常のやり方では確認のしようがない。

自主的にWindows 10の開発に協力したいのでないかぎり、実利の点からもプライバシー保護の点からもこの機能はオフにしておいたほうがいい。

Windows Font Cache Serviceを止める

「Windowsキー+R」で「ファイルを指定して実行」を開く
>「services.msc」と入力
>サービスの一覧から「WindowsFontCacheService」を探す
>右クリックメニュー「プロパティ」
>「スタートアップの種類」プルダウンメニューの「無効」
>適用/OK

【画像】Windows Font Cache Serviceのプロパティ画面

解説

意外と知られておらず、それでも意外と重要なのがこれ。

Windows Font Cache Serviceとはその名のとおり文字フォントのデータを一時的に保存する(キャッシュする)ための機能で、これにより画面上の文字の表示が速くなる恩恵が得られる――はずだった。

しかしこれをオフにしても体感ではほとんど変化は感じられず、それどころかこのキャッシュをつくるための動作が意外と重く、PCのリソースをかなり専有してしまうという問題があるため、基本的には切ってしまっていい機能だ。

英語など文字の種類が少ない言語のフォントではたいした量ではないのかもしれないが、日本語や中国語のように文字種が多い言語では全体として使用するメモリの総量もそれなりのものになってしまうことから、どうもそういった言語の環境をあまり考慮に入れていない機能らしい。

実際に消費されるメモリ量は500MB程度でこれくらいなら現在の標準的なPCではたいした量ではないのかもしれないが、逆に搭載メモリ(物理メモリ)が少ない環境では影響が大きいため、この観点からもオフにしてしまっていはずだ。

Windows Remediation Serviceを止める

「Windowsキー+R」で「ファイルを指定して実行」を開く
>「services.msc」と入力
>サービスの一覧から「sedSvc/Windows Remediation Service」を探す
>右クリックメニュー「プロパティ」
>「スタートアップの種類」プルダウンメニューの「無効」
>適用/OK

解説

サービス名「sedSvc」、プロセス「sedLauncher.exe」、表示名「Windows Remediation Service」となっている。

re-mediation、つまり「再び直す」という意味で、これはWindows Updateのために問題箇所を検索し修正する機能のためのサービスなのだが、この“検索”が曲者。

なんらかの理由でアップデート対象が多いと、この検索自体に多くのリソースが奪われてしまいマシンが低速になることがある。

要するに、Windows Updateに問題が出ていないのならまったく無駄な機能であり、それが失敗するようになったときだけ手動でオンにすればいい話なので、通常はサービスを「無効」にしてしまってなんら問題ない。

OS側でもオフにされる場合があることを想定しているようなので、Windows Update自体には特に悪影響を及ぼすことはないと思われる。

まとめ

上記の作業をいちいちやるのは面倒だという人は、とりあえずWindows Updateとインデックスサーチの停止だけでもやってみよう。

場合によっては、これだけで随分と体感速度が改善されるはずだ。

補足

Windowsの機能以外にも、最近は常駐して自社のソフトウェアの状態を監視し、自動アップデートや情報の取得・送信をしようとするサードパーティ製の機能も多く、ポータルアプリと呼ばれるゲームストアのユーティリティソフトが典型例だ。

他にも有名なGoogle Updateのように、必要ではあるが確実に現在の作業に悪影響を与えるデメリットのあるソフトウェアも増加傾向にあるので、プライバシー保護やセキュリティのためにもあえてこれらもオフにする意味はあると思う。