[つばさ] 最新話を投稿:第七章 胎動 第三節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
久しぶりにベッドで過ごす夜は、あまりにも快適なものだった。
ベアトリーチェはいろいろと考え事をしたかったのだが、横になるとあっという間に眠り込んでしまった。
結局ジャンと別れたあと、特にすることもなく手持ちぶさたなまま大神殿をぶらぶらとしていた。彼と合流したのは、すでに暗くなってからのことだった。
残念ながら、ヴァイクとは連絡が取れなかったらしい。待ち合わせの森のところでしばらく待ったのだが、彼がやってくる気配すらない。
仕方なく帝都に戻ってきてカセル侯への謁見の許可を取ろうとしたのだが、宮廷の衛兵によると侯はまだ到着していないそうだった。
ヴァイクもヴァイクなりの思惑があってここまで来た。彼は、はぐれ翼人の集団のことが気になっている様子だが、その手がかりを探しているように感じる。
もっとも、さすがにこの帝都を翼人が襲うとも思えなかったが。
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