[牙] Chapter 4 episode: Slender Fencer 3――オリジナル小説(ライトノベル)の連載:最新話
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(冒頭部分)
相手が術を使うことを想定しておくべきだった。今さら後悔しても遅いが。
足を取られて動けないところへ、無数の鉄片が迫ってきた。
それらは直前で止まり、空中でゆっくりと回転している。
「鏡の世界でしばらく眠っていなさい」
「くっ……!」
――こいつ、強い。
どういう鍛え方をしたものか、戦い慣れしている。
てっきり激昂してがむしゃらに攻めてくるものと思っていたのだが、用意周到に術を展開してみせた。
「…………」
現状、抵抗のしようがない。体はずぶずぶと沈み込んでいき、もはや肩までしか見えない。
「さあ、瓶を返してもらいましょうか」
勝ちを確信した女が、横柄な態度で歩み寄ってくる。
「それ以上近づくな!」
「まだ抵抗する気?」
「違う、俺の頭の位置を考えろ」
「頭……?」
もはや水面にのみ込まれようとしている。
その低い位置にある目の先には――
はっとした少女は、スカートを押さえて飛びのいた。
「この変態……!」
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