[アプリ] 無料で使えるおすすめアウトライン・プロセッサ:まとめ[アウトライナー]

2014 年 11 月 26 日

はじめに

ここで掲載しているものは、ツリー表示のあるもののみ。よって、必然的に2ペインのUIが多い。

基本、Windows向けのソフトが多く、有料のものは含めていない。

* ちなみに、アウトラインプロセッサという言葉は和製英語。正しくはoutliner(アウトライナー)という。ただ、厄介なことに日本でアウトライナーというと、Mac向けの特定のアプリのことだと誤解されやすいので注意を。

項目の説明

ノードの一括移動 ツリーで複数のノードを選択して、まとめてドラッグ&ドロップで移動できるか
全文表示 ワープロのように、全体を一覧表示できるか

Windows向け

NanaTerry

自動保存 あり
バックアップ保存 あり
ノードの一括移動 あり
全文表示 なし
プラグイン なし
スキン なし

開発が終了し、オープンソース化されたかつての人気アプリ「Nana Tree」を元に開発されたアプリ。

古くから存在し、現在でも開発が継続されている数少ないアウトライナーのひとつ。

とにかくリッチ。「こうしたい」と思うことはほぼできる印象。

にもかかわらず、起動・動作ともに重さは感じない。

リッチテキスト形式に対応し、画像の貼り付けなどにも対応している。軽量化のためかプレーンテキスト版もあるが、まだアルファ版の段階。

ノードのツリーは、複数ノードの一括ドラッグ&ドロップをすることもできる。

外部エディタの利用も可能。エディタ関連では他に、一時的な文章を書き留めておくための「メモ」機能もある。

意外なところでは「Evernoteに送る」機能まである。

個人が管理しているようだが、開発は活発で今後の展開も期待できる。

ただ、開発のペースが速いゆえか、ところどころに不具合が散見されるので注意。

AUTLA(あうとら)

自動保存 あり
バックアップ保存 あり
ノードの一括移動 なし
全文表示 あり
プラグイン なし
スキン あり

タイプ:テキストエディタ
対応OS:Windows XP以降(Windows 10でも動作)
Webアプリ:非対応
クライアントアプリ:対応
画像挿入:非対応

老舗アウトライン・プロセッサのひとつで、超シンプルなテキストエディタ的なアウトライナー。歴史が長いゆえに、非常に安定して動作する。

表示方法もシンプルな2ペインで、非常に軽量に動作する。とりあえずテキストで内容をまとめたい場合にはうってつけのソフトウェア。

プレーンテキストにしか対応していないが、その分かなり軽量で高速に動作することが売り。

デフォルトでショートカットキーが豊富に設定されているので、慣れてくるとマウスを使わずにすばやく編集することも可能。

また、Markdownのように全体をプレーンテキストで表示する「自動階層化機能」がある。行頭の「.」の数でノードの階層を指定していく。

ただし、保存時に描画の再フロー(再読込)が発生してしまい、一瞬だが操作不能に陥るのが残念。

他に、スキンにも対応していて拡張性は高いが、現在公開されているものは少ない。

なお、AUTLAでいう「プラグイン」とは拡張機能のことではなく、外部エディタを利用する機能のこと。

しかし残念なことに事実上、更新は終了しており、正式版は2012年、最新のベータ版でも2018年を最後にアップデートされてはいない。

ただし、Windows 10でも動作することを確認済み。

Story Editor

対応OS Windows 11/10/8/7/Vista/XP

こちらも古くから存在し、開発が継続されている稀有なアウトライナーのひとつ。

どちらかというと小説や脚本などのシナリオをまとめる機能に特化しており、登場人物(キャラクター)をまとめるための専用ノードまで存在する。

最新OSであるWindows 11に正式対応しているのは好印象だが、NanaTerryやAUTLAに比べるとやや重い印象も……?

VerticalEditor

最終更新日 2009年6月8日
自動保存 あり
バックアップ保存 あり
ノードの一括移動 なし
全文表示 なし
プラグイン なし
スキン なし

機能的には物足りないが、縦書き表示するという珍しい機能を備える。

原稿用紙や市販のノートのように罫線を表示する機能もあるが、人によってはかえって見づらく感じるだろう。

特殊な表示ゆえか、ノードを切り換えたときの本文の表示がやや遅いのが残念。

また、2009年で開発は止まってしまっている。

NanaTree

対応OS Windows XP/Me/2000/98

有名なNanaTerryの元となったソフトウェア。

テキストだけでなく画像なども挿入できる。

現在はすでに開発が終了し、オープンソース化されている。

Nami2000

対応OS Windows XP/Me/2000/98

とっくの昔に開発が止まった、シンプルなアウトライナー。

そうでありながら、Windows 11でも動く模様。

クロスプラットフォーム対応

OlivineEditor

自動保存 あり
バックアップ保存 あり
ノードの一括移動 なし
全文表示 なし
プラグイン なし
スキン あり

完全無料でありながらWindows、macOS、Linuxにそれぞれ対応している珍しいアウトライナー。

Windowsには.exe形式、Macには.app形式、LinuxにはJava版の.jar形式がそれぞれ用意されている。

ツリーのノードが、実際のフォルダ(ディレクトリ)とファイルに1対1で対応している。つまり、全体の構造を1ファイルにまとめることはしない。

アウトライン・プロセッサというより、テキスト・ファイルの管理アプリという印象。

1ファイルに出力(エクスポート)する機能はあるものの、好き嫌いがはっきり分かれるだろう。

Markdownに対応しているが、これはノード内のテキストをHTMLのように変換する=エクスポートという意味であって、Markdownの見出しから階層構造を自動的に解析する=インポートできるわけではけっしてない(上記のAUTLAとは異なる)。

現在は開発が休止中で公式サイトも消滅しているため、Vectorのサイトからダウンロードするしか他に方法がない。

* 旧サイトのURLがセキュリティ的に危険なページになっているようなのでアクセスしないようにしよう。

以前、後継のOliviaを開発中で縦書きなどに対応する予定だと主張していたが、すでに長い間音沙汰がない。

Transno

公式サイト:Transno
タイプ:箇条書き
対応OS:Windows、Mac、Android、iOS
Webアプリ:対応
クライアントアプリ:非対応
画像挿入:対応

マインドマップにも対応した箇条書きタイプのアウトライナー。

とはいえ本来は有料サービスなので、無料版では1ページあたりのノード(Transnoではトピックと読んでいる)の総数が5000までと制限されている。よほど大規模な内容にならないかぎりこの上限にぶつかることはめったにないだろうが、少し気になるところだ。

また、データ内容をエクスポートするファイル形式も限られている。

dynalist

公式サイト:dynalist
対応OS:Windows、Mac、Android、iOS

基本無料のシンプルなアウトライナー。

下記「Workflowy」のような作成数の制限はないが、反対に無料版では画像などが使えなくなっているほかブックマークが5つまでと、けっこう制限が多い。

Workflowy

公式サイト:Transno
タイプ:箇条書き
対応OS:Web、Windows、Mac、Linux、Android、iOS
Webアプリ:対応
クライアントアプリ:非対応
画像挿入:対応
ファイル挿入:対応

アウトライナーというより、Evernoteのようにいろいろなものをまとめる総合メモアプリ。

基本無料ではあるものの、つくれるトピックの数に制限があるのが残念。

すべてが箇条書きで表示されるため、長文を残しておきたい場合などにはあまり向かない。

所感

個人的には、機能ならNanaTerry、軽量さではAUTLAで十分。

ただ、全体的にはどれも「帯に短し、たすきに長し」という印象。一長一短があるので、各自で自分のニーズに合ったものを選んでいくしかないだろう。

なお、アウトライン・プロセッサは需要が限られているためか、開発が終了しているものが多い。Story EditorやNami2000など、有名だがすでに開発が止まってから長いものもあるので、そこは要注意だ。

一方、クロスプラットフォームに対応した海外製ソフトは無料版も提供されているものの、制約が多く、実質有料に近いといえる。