[つばさ] 最新話を投稿:第五章 真実 第二節 一――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
最新話を『小説家になろう』に投稿。
(冒頭部分)
空を飛ぶというのは、いろいろと不安になるものだ。
足の下に〝何か〟はあるのだが、そのさらに下には何もない。それが頭でわかってしまっているから、余計に落ち着かなかった。
艦橋を強い風が吹き抜けていく。髪がそれに揺さぶられ、後ろへとなびいている。
飛行艇フィデースは、進路を南東にとって空の上を進んでいた。
オリオーンはもちろん使えない。大弩弓|(バリスタ)を搭載しているのが完全にばれると、後々さらに厄介なことになるからというのもあるが、実はさらなる強化・改良を施しているためだった。
「ギュンター殿の忠告にのったというわけではないがな」
「オリオーンのことですか」
「ああ。どうも、これから何か大きなことが起きそうな気がするんだ」
少なくとも、準備だけは抜かりなくしておきたかった。あとでああすればよかった、こうすればよかったと後悔するようなことだけは避けたい。
オリオーンの武装を強化することが、その準備になるのかどうかはまだわからない。
あれはもう、武器を載せた飛行艇というより、それ自体がひとつの巨大な兵器となってしまった。
それを利用することが果たして本当に正しいことなのかどうか判断しかねる部分もあったが、今のところその強化以外にやるべきことを思いつかなかった。
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