Windows 10で動く無料の帯域制限ソフト「TMeter」の使い方:アプリごとの制限が可能【おすすめ】
ここでは、Windows 10向け帯域制限・通信モニタリングソフト「Tmeter」について、その概略と使い方・設定方法について解説する。
特徴
- Windows 10で動作する、唯一といっていい無料の帯域制限ソフト
- 本来は、通信のモニタリングが目的
- プロセス(ソフトウェアの実行ファイル)単位での制限が可能
- つまり、アプリごとに制限するといった使い方もできる
- svchostを制限すれば、帯域を使い切ろうとするWindows Updateにも適用できる(*Windows 10最新版ではすでに、設定で公式に制限可能)
- ただし、各プロセスのパス(ファイル名)を指定するだけなので、ブラウザなど複数のプロセスを立ち上げるタイプのアプリの場合、うまくいかないことが多い
- IPアドレス単位での制限も可能
- 通信プロトコルを指定することができる
- アップロードとダウンロードを分けて制限をかけることことができる
- 無料版は、指定できるフィルター(帯域制限の設定)の数が4つまで
- 4つあれば十分。ほとんどの場合、問題にならない
- 有料版の価格は89ユーロ(約1万2千円)と高め
- 有料のものでいいなら「NetBalancer」(49.95米ドル:約5千円)や「NetLimiter」(19.95米ドル:約2千円)のほうがいいかも
- 上記のもののほうが直感的でわかりやすい
- インストールすると「TrafSvc」というWindowsサービスが登録されて常駐するようになる
- これが起動していないと、TMeterを開始できない
- 一部、設定すらできなくなるので要注意
- 日本語非対応
- ロシア製。セキュリティに不安を感じるならやめたほうがいい
- 本来は、パケットフィルタリングや通信ログをとるためのソフト
- 2019年11月現在、最終更新が2018年3月と、開発ペースは遅い
- 帯域制限をしたいソフトウェアのプロセス(実行ファイル)を選んでその設定をする(制限対象をプロセスにする場合のみ)
- 個別のフィルター用ルール(設定)をつくる
- ルールなど各種設定をまとめたフィルターをつくる
フィルターの使い方
基本的な使い方の順序
手順
公式サイトから無料版をダウンロードしてインストール。
帯域制限をする対象ソフトウェア(プロセス)の設定
左ペインのツリー表示下部にある「Configuration>Process Definitions>Add」を選択。
「Add Access Process Definition」ダイアログで、帯域制限をしたい実行ファイル(イメージファイル:.exe)を指定し、適当に名前を付ける。
フィルターの設定
左ペインのツリー表示下部にある「Configuration>Filterset>Add>Filter>Add Rule」を選択し、「Filter Editor」のダイアログを表示。
【基本】
「Source」(発信源)が送信元、「Destination」(目的地)が送信先を示す。
いずれの場合も、すべての通信を指定したい場合は「Any IP adress」を指定。
なお、"Also match packets with the exact opposite source and destination addresses"(真逆の送信元・送信先のパケット通信とも合うようにする)がデフォルトではオンになっているが、これだとアップロード/ダウンロード両方を帯域制限・モニタリングする設定になるので、片側だけを指定したいときはオフにする。
【ルールの指定:アップロード制限の場合】
Sourceに「My computer」や「Local process」など、ローカル側を示すものを選択する。
Destinationがサーバー側。
表示ダイアログの「Source」部分にある「Process Definition:」ドロップダウンメニューから、「Local process」を選択。
先ほど指定した実行ファイルの設定名を選ぶ。
「Rule Description」に適当な名前をつけて「OK」ボタンを押す。
またこの画面の右上で、通信プロトコルを指定した設定もすることができる(TCP/UDPなど)。
【ルールの指定:ダウンロード制限の場合】
アップロードの場合と左右逆に指定。
Sourceにサーバー側、Destinationにローカル側。
【フィルターの設定】
次のダイアログ画面の「Ruleset」タブの下部で、一連の設定=フィルターの名前を付け、「Enable Speed Limit」のチェックボックスを選択し、帯域制限の上限を指定する(bpsではなくByte/秒)。
また、ここでの帯域制限の設定は、隣の「Speed & Traffic Limit」タブにおけるものとまったく同一。片方を変更すれば、同時にもう片方にも反映される。
Windows 10システム自体の帯域制限のやり方
最新版のWindows 10では、標準でシステムのための通信速度制限の機能がついている。
ただしこれは、自動でのWindows Updateのためのもので、設定画面から手動でWindows Updateを開始した場合や、Windowsアプリの新規インストールの場合は適用されない。
そのときは、やはりこのTMeterのようなソフトウェアを使ってSVCHOST(下記)全体に制限をかける必要がある。
フィルターの作成
基本は上記のとおり。
左ペインのツリー表示下部にある「Configuration>Filterset>Add>Filter>Add Rule」を選択し、「Filter Editor」のダイアログを表示。
ダウンロードを制限する形になるので、表示ダイアログの「Destination」部分にある「Process Definition:」ドロップダウンメニューから「Local process」を選択。
ここで、最初から存在している「SVCHOST」という設定を選ぶ。
SVCHOSTはWindowsが使うサービスの名称のことで、Windows UpdateなどOS自体が使う通信でも使用されるため、この帯域を制限すればOS全体の通信を制限できることになる。
追加情報
帯域制限と転送量制限
TMeterでは、帯域制限だけでなく転送量の上限を定めることも可能。
やり方
左ペインのツリー表示下部にある「Configuration>Filterset>Add>Filter>Add Rule」を選択し、「Filter Editor」のダイアログを表示。
「Speed & Traffic Limit」のタブの下部にある「Enable Traffic Limit」を選択。
転送量の単位は、あくまでバイト(ビットではない)。
英語での設定の意味がややこしくなっているが、各要素の意味(意訳)は次のとおり。
【Type】
トラフィック制限をしない条件を定める。裏を返せば、これを超えたら下記の制限をかけるということ。
単位はMB。
各Typeの意味は次のとおり。
Sent Bytes Counter or Recv Bytes Counter are no more than | 送信バイト数、または受信バイト数のどちらかが~未満 |
Sent Bytes Counter plus Recv Bytes Counter are no more than | 送信バイト数と受信バイト数の合計が~未満 |
Sent Bytes Counter is no more than | 送信バイト数が~未満 |
Recv Bytes Counter is no more than | 受信バイト数が~未満 |
【制限方法】
Block traffic | 通信を遮断 |
Change a speed | 通信速度を変更 |
帯域制限をする場合、単位はKB/秒。
削除していいデフォルトのフィルター
基本的には、すべて削除してしまってもなんら問題ない。
自分で設定し直せば、あとで元に戻すことも可能。
DNS traffic of my computer
DNS関連の通信を見るためだけのフィルター。
現在のマシン(システム)でサーバーを運用しているのでない限り、ほとんどの場合必要のないもの。
All traffic of My Computer
その名のとおり、TCPやUDPによるすべての通信のためのフィルター。
パソコン(システム)の全体の通信を監視したり、帯域制限したりすることがないなら、必要のないもの。
注意点
タスクマネージャーの表示
このTMeterで帯域制限をかけた状態で実際に正常に動作していても、なぜかタスクマネージャーの表示では転送量・転送速度に変化が見られないことがある(らしい)。