[つばさ] 最新話を投稿:第四章 さよならの言葉 第八節 二――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
最新話を『小説家になろう』に投稿。
(冒頭部分)
が、アセルスタンの動きはそこで止まった。
昏い炎が宿った瞳に困惑の色をのせ、ベアトリーチェを――否、その真後ろにいる小さな姿に視線を向けている。
「なんだ……その子は」
朱色の翼をした翼人の子供が、大きめの外套の上に寝かされている。顔の血色はひどく悪く、粘性の汗をびっしょりとかいている。
アセルスタンはすぐに気がついた。この様子は――
背後をすぐさま振り返り、キッと睨みつけた。そこには、ようやく追いついてきたヴァイクが顔をしかめたまま突っ立っていた。
「貴様! なぜ、ジェイドを喰わせてやらない!?」
ヴァイクの胸ぐらを掴んで問い詰める。
あれは間違いなく、ジェイドが不足しているときの症状だ。翼人の子供がひとりでいるのならともかく、なぜそばに戦士がいながら必要なジェイドを与えてやらないのか。
「リゼ……その子がジェイドはいらないというんだ。もう仕方がない……」
アセルスタンとは目を合わせずに、まるで懺悔でもするかのような声でヴァイクが答えた。
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