[つばさ] 最新話を投稿:第二章 敵 第五節――ファンタジーのオリジナル長編小説
最新話を『小説家になろう』に投稿。
(冒頭部分)
つ、疲れる……
フェリクスはこころの中で何度も何度もため息をついた。
自分が今回の夜会の主催者なのだから仕方がないとはいえ、次から次へとあいさつに訪れる客人の応対をするのは尋常ではないほどの苦労があった。
中でも他の七選帝侯の連中はいろいろな探りを入れてきたり、あからさまな嫌みを言ってきたりする。
気を使うやら、腹立たしいやらでフェリクスは逃げ出したい衝動を抑えるのに必死だった。
――それにしても。
と思う。
他の地域が、これほどまでに疲弊しているとは正直思わなかった。正常な状態にあるところはもはやないといっていい。
諸侯だけでなくその付き人らにも探りを入れてみたが、状況は想像するよりも遥かに深刻であった。
それなのに、ひとつの地域だけがうまくいっている。さらに、次期皇帝を決める選帝会議の時期が重なってしまったのだから、他の諸侯がぴりぴりするのも無理はなかった。
これからどうしたものかと思案していると、横合いから声をかけられた。
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