[牙] Chapter 4 episode: Slender Fencer 2――オリジナル小説(ライトノベル)の連載:最新話
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(冒頭部分)
予測される衝撃と痛み。
しかし、それは一向に訪れなかった。
「…………?」
ガードのために掲げた腕をゆっくりと下ろすと、すべての鉄片が直前で止まっていた。
「動かないで」
余裕を持った女の声が、真ん前から聞こえてくる。
この状況では、抗うべくもなかった。
「ちっ……!」
「相手の武器の特徴を見極めないまま突っ込むなんて、あんたばか?」
「勉強は苦手だ」
「あ、ごめん……」
敵に気をつかわれて、余計に蓮はしゅんとなった。
「……お前、ここで何をしている。その液体をどうするつもりだ?」
「なんだっていいでしょ。私が答えなきゃいけない理由はない」
「だいたい、なんで他の学校の生徒がここにいる?」
「だから――」
「答えろ」
「あんた、自分の立場わかってる……?」
一方的な物言いに呆れてしまう。
霊器であるはずの鉄片が、じり、とわずかに動いた。
「やりたければやれ。どうせお前にはできないだろうが」
「どういう意味?」
「お前は人を傷つけることに慣れていない――いや、人を傷つけることで自分が傷つくのを恐れている」
「……うるさい。ばかにしないで」
(つづきを読む)