[つばさ] 最新話を投稿:終章 明日へ向かって 第五節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
犠牲者は二十三名。
今回の帝都騒乱の全体から見れば微々たるものでしかないのかもしれないが、〝新部族〟としてはあまりに痛く、また人数の多寡にかかわらずあまりに悲しいことであった。
「また、私は……」
どんな言い訳も許されない事実。
仲間が死に、自分が生き残った。
それは、みずからのために友を犠牲にしたことに他ならなかった。
先に逝ってしまったひとりひとりの顔が明瞭に思い浮かぶ。そのどれもが、これ以上ないというくらいに輝いていた。
――私は、犠牲者が出るのを承知のうえで彼らを行かせた。
それはすなわち、自分が彼らを殺したということと同義であった。
逃れようとしても逃れられぬ罪。
あまりに重たく、そして苦しかった。
――いっそ、私を恨んでくれたらいいのに。
何度も何度もそう思う。
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