[つばさ] 最新話を投稿:終章 明日へ向かって 第四節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
「あーあ、ヴァイクの奴も行っちゃったか」
ナーゲルは木の上で思いきり伸びをしながら、手にある赤黒い布きれを握り直した。
ほとんど一瞬と言ってもいい短い間にすべてが終わってしまったことの虚無感。
まさか計画が完全に失敗するとは思わなかったし、まさか翼人最強のマクシムが倒されるとも思わなかった。
予想外の出来事の連続――しかし、これが戦なのだとも思う。
これまで大規模な戦いには参加したことがなかったが、実は思うとおりにならなくて当たり前だった。あれほどの広い範囲で、あれほどの人数が一度に戦ったのだから、想像どおりにことが運ぶと考えるほうが無茶というものだった。
中でも驚きだったのが、自分たちの他にはぐれ翼人の大きな集団が存在していたことだ。
しかも、おそろしく強い。
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