[つばさ] 最新話を投稿:終章 明日へ向かって 第一節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
あの戦いの残した爪痕はあまりにも大きかった。
あれから数日が経った今も帝都の復旧は思うように進んでおらず、あちらこちらで途方に暮れた人々の姿が散見された。
道を覆う瓦礫の数も、まだ圧倒的に多い。運んでも運んでもなくならず、このまま永遠に壊れた町のままなのではないかという絶望感さえ漂う状況であった。
そんななか、ひとりの僧侶がみずからつるはしを握って必死になって働いていた。
世界に六人しかいない大神官のひとり、ライナーその人である。
「ライナー様、壊れた神殿の修復はいかが致しましょう」
「そんなものは後回しです。今は、とにかく道を復旧させなければなりません。このままでは、必要な物資を運ぶことさえままなりませんからね」
神官にそう答えつつ、ライナーは内心ため息をついた。
本来なら、帝都内の各所にある神殿も建て直したいのはやまやまだった。
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