[つばさ] 最新話を投稿:第十章 すべての終止符と喜びと 第六節 一――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
雨が羽を重く濡らし、翼の動きを阻害する。体は命のない石のように冷え、指先の感覚が失われていく。
ヴァイクは、必死になってある人物を捜していた。
いうまでもない、かつての義兄弟であり最も尊敬する戦士でもあったマクシムである。
自分でも、なぜ彼を求めようとするのかよくわからないところもある。
だが、知りたい。
過去に何があったのか、マクシムが何を考えているのか、そして、これからどうしようとしているのか――こちらからすれば、どれもこれもわからないことばかりだった。
帝都の西にある森へ急いだ。上空には得体の知れない飛行艇が一隻、不気味に漂っている。この状況であえて出てきたのだ。おそらく、何かをしでかすつもりに違いない。
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