[つばさ] 最新話を投稿:第十章 すべての終止符と喜びと 第二節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
ヨアヒムは混乱の渦に翻弄されながらも、ひたすらに大門へ向かって走りつづけていた。
これだけ騒然となった帝都の中にいても、主君フェリクスを見つけられそうにない。
それ以前に、いつまでもこんなところに留まっていては、自分のほうが先に倒れてしまいそうだ。
フェリクスらがすでに外へ脱出していることを願い、自分もどうにかしてこの危機をくぐり抜けなければならない。
――それにしても、どうしてこんなことになってしまったのだ。
今さらながらに思う。
つい今朝方まではいつもの帝都だった。それが一瞬でここまでひどい状況に陥った。
ちょっとやそっとのことでは驚かない自負はあったが、さすがに脅威を感じずにはいられない。
それもこれも、あの謎の翼人たちのせいだ。
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