[つばさ] 最新話を投稿:第九章 始まりの終わり 第六節――無料で読めるファンタジーのオリジナル長編小説
(冒頭部分)
ほぼ完全な暗闇の中を、たいまつの心細い明かりだけを頼りに少し急いで進んでいく。
たいまつが一本だけでは、三歩先さえ見渡すことができない。早くしなければならないことはわかっているものの、地下道とはいえ足場が不安定なここを駆け足で進むことさえ難しかった。
――まるで、今の自分そのままだな。
やや自嘲的な思いが込み上げてくる。
まさしく暗中模索。
未だ出口が見えず、この道で本当に合っているのかと迷いがある。
しかし、立ち止まるわけにはいかない。そうしてしまっては、その場で朽ち果てていくだけだ。
しかも、すでに多くの人々を巻き込んでしまった。その犠牲に報いるためにも、身を粉にして最大限の努力をしなければならない。それが、自分にとっての最低限の義務だ。
――フェリクス、すまぬな。
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